湘南の夏は自由な学びの空間から~「鵠沼夏期自由大学」のこと

2014年7月18日

 いまを遡ること68年前の夏、終戦翌年の1946年7月21日から1ヶ月にわたり、ここ湘南学園を会場に、『鵠沼夏期自由大学』が開催されたことを「教育アーカイブスふじさわ九号」を通じて知りました。
 この『鵠沼夏期自由大学』には、湘南学園もその成功のために積極的な協力を惜しまなかったと関係資料に記してあるように、当時湘南学園学園長の任にあった宮下正美先生とその幅広い人脈が生かされた取り組みとなったようです。湘南学園の「建学の精神」はこうしたなかで発揮されていくことになりました。
 当時ここ鵠沼周辺に在住していた知識人・文化人の少なくない方々は、戦後の開放感のなかで自由と民主主義を強く希求し、枯渇した文化の復興の先駆けとして「鵠沼夏期自由大学」を開講したわけです。講師には、林達夫(思想家・評論家)、山川菊枝(婦人問題研究家・評論家)、尾上菊五郎(6代目)、芥川比呂志(俳優・演出家)、長谷川巳之吉(翻訳家・出版社主)、邦枝完二(小説家)といった錚々たる方々が、手弁当で講義をしたと言います。ここ『鵠沼夏期自由大学』から発信された文化力は、年代を超えて鵠沼地域をはじめ湘南一帯の戦後地域文化への様々な刺激となったことでしょう。
 このように、湘南・鵠沼には、自由な学びの空間が歴史的に形成されて、湘南学園小学校をはじめ湘南学園もそうした歴史の一端を担ってきたのです。こうした歴史の一こまに思いを馳せ、この夏の過ごしかたをここ鵠沼から考えてみることも1つの発想といえましょう。
 さて、昨日湘南学園小学校は1学期終業式を終え、夏休みに入りました。何人かの子どもたちとお話をした際に、夏休みを心待ちにしている反面、学校が楽しいので学校に行きたい!と想いを伝えてくれました。うれしいことです。こうした声が多くいただけるよう、先生方共々この夏、全学教育研究集会をはじめ、多くの教育実践・教育研究を進め、豊かな学びの湘南学園小学校の教育環境充実に努めて行きます。

 

*左の写真は『教育アーカイブスふじさわ 九号』第十九回教育史座談会「湘南学園の教育の歩みを語る」44ページを撮影したものです。