夏・海・鵠沼~大型木造帆走クルーザー「やまゆり」体験記

2014年7月25日

 先日、日頃より湘南学園小学校が大変お世話になっています「昔の遊びを伝える会」代表の折原輝雄さんとのお話のなかで、「江ノ島・湘南海岸を帆船やまゆりで体験セーリング”14年」のチラシをいただきました。ここ鵠沼といえば、戦後様々なマリーンスポーツを生み出した発祥の地とも聞いていましたので、かねてより興味を抱いていていました。関係者にお聞きしたところ、湘南学園小学校、湘南学園と海は切っても切り離せない関係にあり、ロケーションはいうに及ばず卒業生のなかには、ライフセービングやサーフィンなどマリンスポーツ開拓の先駆者がおいでであるとのことでした。

 休日のある日、江ノ島のヨットハーバーから、大型木造帆走クルーザー体験をしてきました。海を介した国際関係というとやや大げさかも知れませんが、日本もネシア(島々)の1つヤポネシアと呼ばれている国です。アジア太平洋地域のミクロネシア・メラネシア・ポリネシアなどとも海を介して関係性をもつ海洋国家の1つとして、海に親しみ、平和で豊かな地球環境をより良くしていく姿勢を子どもの頃から培ってほしいと願っています。その1つとして、湘南学園小学校では先日、「着衣泳」の訓練なども重視して取り組みました。

 湘南の夏といえば海・青空・風がセットですが、そこに帆船(ヨット)、しかも大型木造帆走クルーザーが加われば、必要十分条件となりましょう。この大型木造帆走クルーザー「やまゆり」は、1964年10月東京オリンピック・ヨット競技の会場が江ノ島に決定されたのをうけ、神奈川県が海外・国内の来賓用のクルーザーとして、2本マストの木造大型帆走クルーザーを建造しました。43フィート(約13、3m)の大型木造クルーザーは現役ではあまりなく、日本のヨット史に輝く文化財的存在ともいわれています。建造以来約50年の歳月が経ち、修復費用もかさみ維持のあり方が問い沙汰された折、「NPO法人やまゆり保存会」を立ち上げ、心ある方々がこの艇の保存に尽力されてきたとお聞きしました。その活動の一環として体験セーリングなどの取り組みをしています。

 江ノ島ヨットハーバーを離れた「やまゆり」は、ゆっくりと航路を東南東にとり、大きな帆を張り湘南の夏の日差しと快適な風をうけながら、刺し網や定置網を示す旗のついたブイを巧みに避けながら緩やかに滑り出していきました。腰越海岸沖~由比ガ浜沖~葉山沖から見る江ノ島や江ノ島越しの鵠沼や湘南海岸は、これまで見る機会がなかっただけに新鮮でした。何よりも海とこの「やまゆり」を愛する近藤誠船長をはじめとするクルーの皆さんの機敏で的確な操船やロープワークなど艇と一体化した動きは実に軽快で、夏の鵠沼・湘南の1コマを象徴するものでした。
(校長日記の次回更新は8月29日となります。素敵な夏休みをお過ごしください。)