小さい秋~紅葉・黄葉の彩り
2014年11月28日
朝のお出迎えの時、「校長先生、はい、これあげる」といって、小さな可愛い手のひらの上に乗せた赤く色づいた桜の葉をプレゼントしてくれた子どもがいました。ところどころに黒い染みのような模様があり、また虫食いの穴も空いてはいますが、その葉をかざしてあちこち覗くと、秋深しを感じさせてくれるものを見つけることができました。
植物が紅葉・黄葉し落葉することの仕組みについて、少し気になったので調べてみました。秋も深まり日照時間も短くなり、気温が下がってきますと、光合成が十分に行われなくなり、「省エネ」のために落葉するというものです。気温の低下に伴い、紅葉・黄葉~落葉へと進み、葉緑素が葉から木の幹に移動し、他方、葉の表面で紫外線の作用により、赤い色素の元ととなるアントシアニンが、光合成により製造された糖分を原料に合成され、赤色の元となるとのことでした。
こうした科学的植物学的説明とは別に、子どもたちに響く答えは別にもありそうです。思い出されるのは、その昔「全国こども電話相談室」(1964年7月~2008年9月までTBSラジオに設けられた番組。その後のリニューアルスタートした「全国こども電話相談室 リアル!」とは別物)という、とりわけ子どもたちに(でも大人も含め幅広い視聴者に)人気のラジオ番組がありました。名物パーソナリティーの一人、無着成恭さん(当時明星学園教諭、住職。「やまびこ学校」で有名な教育者)だったら、「何ではっぱは赤くなったり、黄色くなったりするんですか?」といった素朴かつ本質を問う鋭い質問にどのように答えるか、無着先生の「答え」を想像するだけでも笑いがこみ上げてきそうです。子どもたちにとっては、科学的説明と共に広い意味での想像の広がりを促す「こたえ」が必要なのかもしれません。行く秋を惜しみかつ愛でながら、来る冬への構えを心身共にする時、落ち葉焚きが家の庭先などで行われていたこと、細い煙とオレンジを混ぜたような真っ赤な炎の力強さと暖かさを思い出します。「小さな秋」をみつけ楽しむことは、子どもたちにとっても、むろん私たちにとっても、縁側の陽だまりに身をおくような心地よさを感じるのではないでしょうか。