「鵠沼海岸海水浴場開設130年」展、開催中

2015年3月13日

 湘南学園のOBであり、現在、「鵠沼郷土資料展示室」(鵠沼市民センター内、小田急江ノ島線鵠沼海岸駅より徒歩数分)に関わり、「藤沢・鵠沼の生き字引」といわれている内藤喜嗣さんより、標記「鵠沼海岸海水浴場開設130年」展(2015年2月15日~5月15日 *月曜休館)のご案内をいただきました。

 いまから遡ること130年前、1886(明治19)年大磯・鎌倉に次いでここ湘南・鵠沼海岸に海水浴場が誕生しました。日本最初の海水浴場・大磯海岸誕生の翌年のことです。そして鵠沼海岸海水浴場誕生の翌年の87(明治20)年7月には、官営鉄道(旧国鉄)の旧横浜駅ー国府津駅間開通に伴い、かつての藤沢宿の玄関口として藤沢駅が開業しました。これにより、藤沢そして鵠沼は都会から近い気候温暖かつ湘南海岸を臨む風光明媚な地として日本初の別荘分譲地も開発されて行きます。このため海岸沿いには、旅館も開業し、その中に多くの文人墨客たちが逗留したため「文士宿」との異名で知られる「旅館東屋(あづまや)」(1897年頃~1939年まで営業)がありました。その魅力は、約2万平米の広大な敷地に、舟の浮かぶ大きな庭園をもつリ元祖ゾート旅館形式にあったようです。逗留客の中には、小泉八雲、徳富蘆花、武者小路実篤、志賀直哉、谷崎潤一郎、有島武郎、芥川龍之介、与謝野晶子、大杉栄など名だたる作家たちが名を連ね、そこで創作活動に勤しんでいたことはよく知られています。

 1902(明治35)年に開通した江ノ電により、この別荘ブームはさらなる人気を呼び、それまでの「塩湯治」(海水を温泉湯治にみたてて)から、行楽レジャーに変わって行くことになりました。これにより、都会から多くの人々が行楽客として、鵠沼海岸はもとより、その一角にある名勝・江ノ島にも押し寄せ江戸期の大山参り以来の江ノ島ブームの再来となり、久々の盛り上がりを見せることになったといいます。

 戦後は、マリン・ビーチスポーツ草分けの地として、脚光を浴びることになります。ヨットをはじめサーフィン、ウインドサーフィン、ボディーボード、ビーチバレー、ビーチフットボールなどを楽しむ若者の姿が、四季を問わず見られます。また、海水浴場での事故防止や人命救助を目的に、「湘南ライフガードクラブ」の活動が1963年から始められ、現在地元のいくつかのボランテイアクラブも活躍しています。

 2015年夏には、「鵠沼海岸・海水浴場開設130周年」記念行事も予定されており、「塩湯治」ならぬいまどき海水浴を湘南海岸を代表するここ鵠沼海岸で楽しみ、江ノ島をはじめ海岸沿いや鵠沼の街並みを散策されることも夏の楽しみの1つでしょう。歴史ある鵠沼海岸商店街には一味違う「逸品」が見つかるかもしれません。
 *参考資料「鵠沼郷土資料展示室だより 第33号」(2015年2月15日 鵠沼郷土資料展示室運営委員会)