夏休みの「作品」

2015年9月11日

夏休みの「作品」
~そこに溢れる子どもたちの想像力~

 湘南学園小学校の各教室前に広がる多目的スペースには、猛暑といわれた夏休みに子どもたちが制作してくれた多岐にわたる作品がめじろ押しです。その1つひとつが、学年の違いや完成度の高低はあれ、どの作品もこの夏休みの自由な空間のなかで、子どもたちが想像力を掻き立て、計画して制作した宝ものであることに気がつきます。大きい作品、小さい作品といろいろありますが、どれもそれぞれの子どもたちが、思いを込めて一心不乱に制作したものに変わりはありません。子どもたちは、同じクラスの作品や他クラスの作品を眺め、その出来具合と共にどうしてあの子がこの作品を作ったのだろうかというところまで考えたりもします。画像に眼を転じていただければ、そこには子どもたちの想像力の行方が感じられましょう。それぞれの作品を通じて子どもたち同士の対話が進み、それぞれの作品を制作した子どもたちの想像を超えた評価やアドバイスをもらい、その作品を突き抜けたイメージのさらなる広がりが子どもたちを包むことでしょう。

 皆様の小学生時代の思い出と重なるかも知れませんが、私自身は、いわゆる「夏休み帳」をさっさと済ませて、夏の暑いさなか、自分が創りたい作品をあれこれ想像し、制作するスタイルが好きでした。

 思い出は小学校2年生の夏に遡ります。木工船の設計・制作を思い立ちました。材料調達をと思い立ったのが、近所のお家の改築現場です。木切れが詰められていた袋から、木工船に適した30センチ程度の細長く平たい形状のものを大工さんにお願いしていただきました。鋸で形を整えて紙やすりで滑らかに仕上げ、赤・青・黄の塗料の配色に決めその上にニスを塗りました。操縦室を配し、船の周りに小さな釘を打ち、それを糸でつなぎました。推進力はゴム動力でスクリューを回すものですが、その取り付けから実際にその木工船が進むまで予想以上に苦戦したのを昨日の様に思い出すことができます。

 ともかく時間の経つのも忘れて、日頃使い慣れない工具で指先を傷つけたりしながら、この想像し設計した宝ものを制作した思い出があります。この制作過程から、大工さんに上手な釘の打ち方、鋸の目立ての方法、鉋のかけ方も教えてもらい随分勉強したなとの思いを強くしたものです。なかでも鉋くずがシュルシュルと出てくる様は、子どもながらにその美しさにみとれ、その木の香りに感動したりしたものです。それから船のバランスをとるにはどうしたら良いか、塗料を水に溶けないようにするには、水陸での抵抗の違い、仕上げ方と推進力の関係、学んだことが山のようにありました。子どもたちもそうした学びをしたに違いありません。

 私たち湘南学園小学校の教職員は、これまでも、そしてこれからも、こうした学びを1つひとつ大事にしていきます。子どもたちの想像の行方を見守りながら。