原発事故を風化させないために

2012年10月25日

 

 まだ未見ですが園子温(そのしおん)監督の3・11後、ドキュメンタリーではなくドラマとして初めて原発事故をテーマにした映画「希望の国」が現在上映中です。昨日の東京新聞で監督が福島の無人の小学校を訪れた際に作った詩の抜粋が紹介されていますが、一読深く感動いたしました。私たち湘南学園小学校にとっても、ご家族や子どもたちにとって原発の傷跡は無縁のものではなく、現在進行中のことであり、決して風化させてはならないことです。教育関係者の一人としてご紹介させていただきます。

「数」  (抜粋)

まずは何かを正確に数えなくてはならなかった。

草が何本あったかでもいい。全部、数えろ。花が、例えば、桜の花びらがなんまいあったか。

涙が何滴落ちたか、その数を調べろ。今度またきっとここに来るよという小学校の張り紙の、その今度とは、今から何日めかを数えなければならない。その日は、いつか、正確に数えろ。もしくは誰かが伝えていけ。

-自分を数えろ。お前がまず一人だと。

「膨大な数」という大雑把な死とか涙、苦しみを数値に表せないとしたら、なんのための「文学」だろう。季節の中に埋もれてゆくものは数えあげることが出来ないと、政治が泣き言を言うのなら、芸術がやれ。一つでも正確な「一つ」を数えてみろ。