「想像力を高めるために」

2015年11月6日

「想像力を高めるために」
~湘南学園小学校OB大島武先生の特別授業から~

 湘南学園小学校小ホールは、木をふんだんに使用した湘南の風が吹き抜ける設計になっています。何よりも子どもたちに、木のぬくもりと優しさが豊かに伝わることを願ってつくられました。その小ホールには、6年生の全児童と共に、保護者の皆様も多数お見えです。さて、そこで何が行われたのでしょうか。

 その日は、湘南学園小学校OBで現在東京工芸大学教授をされている大島武先生の6年生への「特別授業」が行われました。武先生は、「世界のオーシマ」として映画界を牽引されてきた故大島渚監督と女優の小山明子さんのご子息です。

 武先生は、「特別授業」のテーマとして、「-誰かの体験をあなたの学びにかえるためにー想像力を高めよう!」を掲げられました。配布いただいたレジュメには、「私たちが直接体験できることはほんの少しのことです。だから私たちは自分でない誰かの話を聞いたり、本を読んだり、テレビを見たりして他者の体験や考えから学ぼうとします。そのとき、一番大切なのは『想像力』です。」と「特別授業」のねらいが記されていました。

 内容は三部構成になっていました。「1.大学の授業を体験してみよう」では、武先生の専門性を生かしたコミュニケーション論、プレゼン論が「ゲーム」を通じて大変分かりやすく理解することができました。

 「2.昔話を聞いてみよう」では、湘南学園小学校3年生の時に、担任のN先生が子どもたちを通じて保護者の子どもの頃の体験を書いてもらうという課題にまつわるものです。武先生は、父親の大島渚さんにその課題をお願いし引き受けていただきました。多忙を極める大島渚さんが早くも2日後にはその課題を仕上げ、クラスで一番早くその課題を出すことができたことを大変うれしく思ったそうです。しかし、武先生は今から思うと心残りの点があり、それは大島渚さんの書かれた内容について、聞く機会を設けなかったということでした。その後「43年の時を経て」、武先生は戦後70年という年に、この課題を絵本にして世に出すことを思い立ちました。父大島渚さんが、この課題を通じて武さんに伝えたかったことを、ご自身と共に世界の人々に受け止めていただくこと、共有化していただくことが良いとのお考えからだったのでしょう。

 「3.まとめ~想像力を高めるために~」では、何ごともいったん受け止めることから始めることの大事さ、そして日常の出来事を縫って、気づいたことをメモをすることの有用性を話され、「一番大切なのは『想像力』です、と結びました。

 あっという間に「特別授業」は終わってしまいました。子どもたちは、武先生の「特別授業」から、「想像力の大切さ」を、どのように受け止めてくれたのでしょうか。考えるきっかけをいただいた短くも濃密な時空間でした。