戦争体験の聞き取り

2012年11月27日

4年生のある学級が総合学習として戦争体験の聞き取りをしています。憲法改正、TPO、原発、領土問題など、様々なわが国の政治的諸問題がありますが、小学校で扱うときには、個々の問題に子どもたちがどのような意見を持つかは、はっきり言えばどうでもいいことなのです。それよりも、なぜ自分はこのように考えたのか、資料や体験から学び、自分の考えをもち、友だちの意見も聞き取り、わかりやすくまとめたり、発表する力を育てることが大切なのです。子ども達は未来の主権者ですから、小学生なりの考える過程が大切なのであり、結論や、答えが重要なのではありません。

その上でこの学級での戦争体験の聞き取りのまとめを読んでいて、自分の中にあせりともいった気持ちが生まれたのです。それは戦争体験者から学べる時間が本当に残り少なくなっているという単純な事実です。子どもたちの聞き取りの中で、横浜大空襲や平塚大空襲についての聞き取りがあるのですが、これらの記憶をどのように伝えていくかは大変大きな課題です。主権者たる国民がどのような政治的信念を持つのか、あるいは選挙などを通じてその意思を行使していくのかは個々の自由ですが、そうした判断のもとに、例えば戦争経験と言う共通のリテラシーがあるのかないのかは決定的なことだと思うからです。平塚の町を歩くとき、あの見事に整理された町並みは、当時の平塚が空襲で焼け野原となったからだ、という知識があるかないかは、決して小さなことだとは思えません。