夏の花

2013年7月10日

猛暑の中学びの森に出てみました。使っているカメラと私の腕では、このあふれかえるような真夏の空気感を伝えることは出来ません。あまりの暑さの中ですべてがひっそりと静まり返っているようです。子ども達の声も気配も届きません。その時脈絡もなく、原民喜の小説の題名である「夏の花」ということばが頭に浮かびました。原は1905年広島に生まれ慶応大学卒業後文学の道に進みます。1945年疎開した広島で被爆、1946年三田文学の編集に携わり、原爆投下の惨状を描いた「夏の花」で第一回水上滝太郎賞を受賞。遠藤周作は「夏の花」を「いくつも書かれた広島原爆を描いた小説の中でも最高のもの」と絶賛しています。1951年死去。

広島市平和記念公園内原爆ドームの東側に立つ原の詩碑には「遠き日の石に刻み/砂に影落ち/崩れ墜つ/天地のまなか/一輪の花の幻」