2年生 算数研究授業

2014年11月7日

先週、2年算数の授業において研究授業が行われましたので、その様子をご紹介したいと思います。

湘南学園では教育研究活動の一環として、定期的に研究授業を行っております。今年度は『学びあい』を研究主題に掲げています。子どもたち同士の関わり合いから新しい価値を生み出し、家族や地域や社会に生きる人々と関わり合いながらお互いに学び合う。そのようなつなげる学び・つながる学びの充実を図る教育実践です。

詳しくは教育研究活動のページをご覧ください。


2年生は現在「かけ算」を学んでいます。2学期が始まるとすぐ、子どもたちは「かけ算はいつからやるの?」「ぼく九九言えるよ」と口々にかけ算への期待を語っていました。ただ、「かけ算=九九」ではありません。その学ぶべき本質はかけ算を生活の中へとつなげ、生活をより豊かにしていくことなのです。例えば、「1日3ページ学習すると、7日間で21ページ進む。」というように、生活の中でかけ算を具体的に役立てる力を身に付けていくことと考えます。

本時では「5の段」を題材に授業を行いました。
まず「5の段のひみつを探そう」ということで、5の段を見て気がついたことを発表してもらいます。

「いくつ分の数が1ずつ増える」
「さいしょが全部5」
「答えが5ずつ増えている」
「答えの1の位が5と0のくりかえし」

自分が気づいていないことが言われると「ほんとだ!」と言う声も聴こえて、他の子の発言から刺激を受けている様子がわかります。他の人の発表を理解したと思われる子に再度発表してもらうことで、その子の理解を図るとともにまだ理解には至らない子への繰り返しの説明の機会とします。

続けて、いくつ分の数は「1、2、3・・・9の後はどうなるんだろう?これで終わりかな?」と問いが発せられます。
「10」と元気よく答える子どもたち。
「5」×「10」は「50」ですが、なぜ50になるのでしょうか?先ほど発表してもらった「5の段のひみつ」の規則性がここで活かされてきます。ひみつを活用した答えの導き方は、暗記による九九とは別の導き方と言えるでしょう。後日談ですが、暗記して覚えていた子にとっては新鮮だったようです。
 


授業はいよいよ山場を迎えてきました。どうやら「ひみつ」を使うことで5の段の「5×9」の続きは答えを導き出すことができそうな雰囲気になってきました。

5×11の答えは55
5×12の答えは60
次々と答えが出てきます。

この時間帯はとても子どもたちの反応も活発になってきていて、「はいはい!」と手をあげる子や、答えに一喜一憂する子などが集中力が途切れることなく学習への意欲が見られたことが印象的。「算数はできるようになると楽しい」と思っている子どもが多く、「面白い」「楽しい」からスタートして興味を持つことが学習意欲を高め、それが学習効果につながってくると思います。

授業の終わりに書けるところまで5の段の続きを書き、答えあわせをして本時は終了です。たくさんの大人たちに囲まれながらも集中力を維持して学習に取り組んだ2年生のみなさん、本当によくがんばっていました!



後日、授業の感想を子どもに聴いてみました。
「1の位の5と0の繰り返しを発見できたのが嬉しかった」
「面白い覚え方を見つけた!」
すでに九九を暗記している子にとっても、新たな発見があって興味を引き出すことができたようです。
 
研究授業後の学習では変化が見られました。他の段をやる時に5の段でやったことを思い出して、何か新しい規則性を見つけよう、段に隠れた秘密を発見しよう、という姿勢が見られました。かけ算の仕組みやひみつ探しの基礎的な学習と、かけ算探しやクイズ大会などの活用的な学習を繰り返し横断的に行うことで、学習と自分たちの生活との結びつきを強め、自分の考えだけでなく他者の考えを取り入れながら、かけ算の学習を深めることにつなげていきたい。覚えるだけの学習ではなく、そこに面白さを見つけ、興味を抱くことで、意欲を高めて学習に取り組んでいって欲しいと思います。

【授業後、若月教諭よりコメント】
今回の授業を行うまでに、試行錯誤をくり返してきました。授業終了後、「今日の授業たのしかった」と言う子どもたちの言葉に手応えを感じています。暗記に頼る『かけ算九九』の学習ではなく、自ら発見した「5の段」の規則性を使い、どこまでも、九九の答えを導き出すことができる。『かけ算九九』の新たなおもしろさを発見することができた授業になったと感じています。