2月・3月 中高図書室から

2018年3月24日

 2018年、出版界をめぐる最初の大きなニュースは『広辞苑 第7版』の刊行でした。改訂版が出るのは10年に一度のことですから、必然それは世相をよく反映したものとなります。第7版では「チャラい」「お姫様抱っこ」「上から目線」といったような生徒たちにも馴染み深い現代語から、「限界集落」「ビットコイン」「iPS細胞」などの新しい概念・技術に関する言葉まで、1万もの新語が加わりました。

 図書室でも「広辞苑専用コーナー」を特設し、大きくとりあげました。部屋に入ってすぐ、ぶあつい辞書1冊がどーんと出迎える様子に、生徒たちも「わあ、広辞苑だ!」と良く反応していました。そもそも彼らにとって、広辞苑といえば電子辞書に入っているもの。実際に紙の事典に触れ、その厚みや重みを感じる機会はほとんどありません。だからこそ新鮮な驚きをもって「すごい、これ何ページあるの?」「知らない言葉がたくさん」とわくわくしながら、紙をめくる感触を楽しんでいました。

 もし面白い言葉をみつけたら、紙に書いて「コトバの宝箱」に入れてもらいます。珍しい言葉を見つけるために、わざわざ事典をめくる生徒もいれば、他の人が箱に入れた言葉を読んで楽しむ生徒もいました。

 「読書狂の末路は辞書読み」とも言われます。こういった機会を利用して、言葉の奥深さや面白さを生徒にも体感してもらえたら…と思います。

 

 

 図書委員会・企画班の冬のイベントは、2月後半に実施した「Book×Music×Week」でした。放送委員会に協力してもらい、昼休みの放送で本の紹介をしながら、それに関連する音楽を流してもらう、という企画です。また、図書室前でも紹介された音楽を聴けるように、「試聴コーナー」を設置しました。

 初の試みだったので、本と曲のチョイスや紹介原稿の作成には時間がかかりました。そのかいあって実際の放送時にはさまざまな反応があったようです。また、解説をまとめた歌詞カード風のブックレットを配布したところ、こちらも好評でした。

 

広報班は、これまで別個に編集していた各種広報紙を統合し掲示版「本のむし」第1号を試験的に発行しました。整備班は分類見出しの作成や本の廃棄作業のほか、100冊以上の本に透明ブッカーを装備してくれました。

 後期さいごの全体会で行ったアンケートでは「委員会での自分の仕事を楽しむことができましたか?」という問いに、7割近い委員が「とても良くできた」と回答してくれました。もちろん、誰もが最初からやる気満々だったわけではありません。継続してコツコツと作業をして、その成果が目に見えて現れたり、先輩や後輩と一緒に和気あいあいと活動するうちに、仕事が楽しいと感じられるようになったのでしょう。
 中1の頃からずっと委員をしてきてくれた高2の図書委員長は「今後も委員をやりたい、その責を担っていきたいという後輩が現れてきてくれた。目標だった『プロの図書委員の育成』は成功したと思う。」と最後に締めくくりました。

 

 1年間はあっという間ですが、図書室という場から定点観測したときの、生徒の変化にもまた驚かされます。その成長を支える場となれるよう、次年度も生徒とともに歩んで行きたいと思います。