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月別 校長通信

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第689回 被災地へ派遣された公務員の人びと(2)

2013年6月6日

 前期中間試験の第4日です。中学生は今日が最終日になります。
 今回は昨日の続きで、最近特に深い感銘を受けた大震災関連の特集番組について概要を紹介します。昨日の分と合わせて読んで頂けると嬉しいです。

 

  東日本大震災の広範な被災各地では、岩手・宮城・福島の3県で1500人以上の“応援公務員”が、復興の仕事で全国各地から派遣されました。
 町役場自体が壊滅し、多数の職員が犠牲となったこの大槌町では、この二年二か月の間に、19の都道府県からのべ283名もの職員が派遣されました。地縁も血縁もない所にやって来て、地域の再生計画と住民交渉の最前線を担うことになったのです。

 

 前例のない事態の中で、番組の主人公となった小林武さん(44)の奮闘には頭が下がるばかりでした。どんな反対や非難を受けても、そこに故郷に深い愛着を持ち、地域に根ざす暮らしと生業をこよなく大事にしてきた住民への共感を深め直し、粘り強く傾聴を重ね、理解を求める仕事ぶりが尊い姿でした。住民が安心して居住できる街の再生を祈っての苦難の仕事でした。
 春になり、大学の専門家から「住民参加が少ない、もっとその意見を取り入れて街の再建を具体化するべきだ」との勧告を受け、住民代表の参加を求める審議会が発足することになり、その8名の確定まではと任期を一か月延長する談判も経てまた奔走しました。これも難航続きでしたが7名まで確保し、最後は一番反対意見の厳しかった方に対して、“皆さんの大切な土地と財産を扱う区画整理や道路のことだからこそ、あなたに是非加わって頂きたいのです”と訪問を重ね、“判りました。今後は中に入って共に進みましょう”と引き受けてもらえた場面も感動的でした。一本の道路を通すのに20回も訪問して話し合った住民がいて、そのたびに図面の修正案を携え、あの人は頑張るからと味方につけたこともありました。

 

 小林さんの任期は4月末までで、後任は同じ川越市から深い信頼を寄せる後輩がバトンを受けます。この方も4人の妻子と離れての単身赴任であり、最後の時期は二人で業務を進め、“更にこれからが正念場”としっかり引き継ぎがなされました。小林さんは「日本全体で被災地を支え続けなければなりません」と語り続け、離任前にはお世話になった住民達への挨拶廻りをかかせませんでした。“この先の交代でまた大槌に来て下さい”と別れを惜しまれ、番組スタッフも小林さんの志を受けて、今後も被災地の復興を見つめ続けていくと決意するのです。
  小林さんは最後に町全体を見おろす高台で、これからが再建の本番であり、今後の展開は後任に託しますが、また気になるのでちょくちょく来ると思います、と語っていました。一年と一か月の限られた期間とはいえ、想像を絶する困難と向き合い、住民の心情への理解を深めつつ一歩一歩達成していく姿に感銘を受けました。

 

 在校生の諸君にも、社会の進歩に貢献する仕事の大変さとやり甲斐について深く学べる事例として紹介したいと強く思いました。また同時に、仕事とは“担当する者の前後の長いリレー事業で行われるものだ”ということを改めて認識させられました。仕事には重要な使命があり、前任と後任の間を歴史的につなぐ中で独自の役割があるとの自覚も大事なのだと、当たり前かもしれませんが再認識させられたのです。再放送は未定のようですが、小林さんの姿に襟を正す思いで視聴しました。