第716回 大学受験へ向けて~全国模試の点検・学習法指導会

2013年7月8日

 今年の梅雨は早々と明けて、猛暑の夏本番が到来しました。
 今日の1校時は、高校の朝礼を行いました。
 今回の朝礼は、校長と学習進学指導から、高校生にとって切実な課題である大学受験へ向けての話を中心にしました。
 特にどの学年でもこの間、重要な全国模試の受験と結果返却が続いていることを踏まえて、中泉先生からパワーポイントを使い、全国と学園の受験生や先輩達の詳しいデータ分析を通じて、今後の重点的な努力目標などについてのアドバイスもなされて、生徒諸君は真剣に聞き入っていました。

 

 次にこの春の「第1回イングランドセミナー」に参加したメンバーから、代表で高3の常盤佳那さんと高2の藤原尚之君が、現地での貴重な学びと体験について見事な英語スピーチをしてくれました。

 続いて部活関係の表彰で、将棋部と剣道部の高3生の活躍表彰があり(HPのクラブ関係のコーナーで紹介します)、最後に生徒会のクラス委員会委員長の高2高橋慶君から、大事な呼びかけがなされました。
 「立ち上がれ、学園生!~通学路マナー向上週間~」として、その実施要項のプリントが配布されました。近隣住民の方々への日頃のご迷惑も自覚して、誰でも出来る基本マナーをみんなで実践していこう!とのメッセージでした。 特に、後輩の中学生が、我々高校生のふるまいを良くも悪くも手本にして行動する点を自覚して、通学マナー向上に努めようとの熱い語りは説得力があり、高3の先輩達からも賛同の声があがりました。

 それでは今回も校長からの話を、ご参考までに載せさせて頂きます。

 

皆さんおはようございます。先週末に梅雨が明けて、夏本番の猛暑が到来しました。今週も、総合学習や部活の大会で外へ出かける諸君がおおぜいます。
水分の補給などに気をつけて、熱中症には十分に気をつけて下さい。

まず始めに、先月のオープンキャンパスについて皆さんにお礼を伝えたいと思います。
今回のオープンキャンパスは、約380世帯に増加して数百人のご家庭の参加があり、大盛況でした。クラブ体験や、受付と誘導案内、国際や制服コーナーなどで、300名以上の在校生の皆さんが丁寧な対応や説明をしてくれました。
参加した運動部や文化部の皆さん、生徒会総務委員の皆さん、今回も素晴らしい準備と対応をありがとうございました。野球部の皆さんは、更に今年も駅から学園までの誘導・案内をしてくれ、その笑顔と挨拶を絶賛されました。
全ての皆さんの親身な応対ぶりが大好評であり、学園を目指す小学生・ご家庭が増加したことは間違いありません。
また6月29日の学校説明会でも、総務委員や学校行事のリーダーの諸君にパネラーをお願いして「生徒が主役の学校行事」を中心に語ってもらいました。これも参加者の人たちに大きな反響を呼びました。
校長として、改めて在校生の皆さんのことを誇りに思います。自主性や積極性にあふれ、仲間と力を合わせて取り組むパワーは学園生が最高だ!といつも思っています。本当にありがとうございました。

さて7月初めの朝礼は例年、中学と高校で分けて行っています。今回は、高校生の皆さんにとって切実な課題にあたる、大学受験へ向けての話をしたいと思います。
どの学年でも、この時期は、全国模試の受験や、答案結果の返却が続く時期です。
たとえば、高3の諸君は先月末に、河合塾の全統記述模試の結果が返却されました。
高2では先週木曜日に、河合塾の全統高2模試の結果が返されました。
高1では先週金曜日に、進研の高1総合学力テストが行われました。その活用法についての学年ガイダンスも行われました。
3つの各学年では大学受験までの時間も異なりますが、共通する大事な課題があると思います。模試は貴重な“お宝”です。受けた後にどう生かすかが圧倒的に重要です。

全国模試は試験時間も長くて、試験問題はすごくボリュームがあります。
高3や高2の英数国は200点満点で、全国平均点は30%~40%が普通です。
そして200点満点の試験では、100点に届かない人の方がまず多数派です。
あこがれの志望校を記しても、E判定を取るのもまず多数派なのです。
この辺りは後ほど、学習進学指導主任の中泉先生から、パワーポイントを使った詳しいお話があるから注目して下さい。
大学受験はいうまでもなく、全国レベルの競争です。神奈川県・東京都が範囲の中学受験とは違います。受験自体が人生で初めてとなる諸君もおおぜいいます。
その中で全国模試の難しさ、自分の取った点数の厳しさに打ちひしがれる思いの人も少なくないことと思います。
でも皆さんの立ち位置は、湘南学園の先輩達も、私達も通ってきたところです。

そこではるか昔になりますが、参考までに私の経験をお伝えします。
私は公立中学から都立高校へ進みました。家が貧しくて、国公立大学へ進学を決めていました。高1の頃はテスト前は頑張りましたが、ふだんの勉強は中途半端でした。
高1で初めて受けたのは、旺文社の全国模試でしたが、衝撃を受けました。全体にひどい点数で、割と自信のあった数学も40点でした。定期試験で80~90点取っていたプライドは簡単に吹き飛ばされました。
しかし全国では、片や90点以上取る同学年の人達がいっぱいいる事実を知ります。
自分の甘さを痛感するしかありませんでした。
高2から本格的に受験勉強を始めました。予備校などは行かずに、自分で選んだ参考書や問題集に取り組みましたが、要領が悪くて自己嫌悪に陥ることもありました。
その中で一番成功したのは、自分が受けた模擬試験と定期試験の点検・復習を丁寧にやる習慣がついたことです。志望校の赤本も難しくて、“もう無理か”とめげることもしばしばありましたが、英語の入試問題など2回目をやると、ずいぶん全体が見えてくる手応えも得ることができました。高3の秋にやっと初めてC判定が出て、強気に自分を信じ続けて、何とか現役で間に合いました。

皆さんに伝えたいのは、こだわりの第一志望に遠慮は要らないことです。恥ずかしくなんかありません。志望校の入試問題の全体像をつかんで、求められる学力や問題の特徴を理解してから。一歩一歩地道な努力を続けることです。
勉強の基本は、いま自分がやっている問題集・参考書・単語帳など、メインの教材をパーフェクトに仕上げることです。そして自分が受けた模擬試験や定期試験を完璧に点検復習することです。やると決意して始める、他の誘惑にまけないで続ける。この二つに尽きると思います。
目標が明確になった人は、隙間時間も生かして本気で勉強するものです。受験勉強は山登りにとてもよく似ています。ずっと長い間、周りの景色は見えません。山林に囲まれながら険しい道を登るしかありません。
しかしある地点から、急に見晴らしが良くなります。周りの広い景色を楽しめるようにもなります。そしてゴールがついに直接見えるようになります。そして君の選んだゴールに到達するのです。

関連して、皆さんにぜひ紹介したい企画があります。すでに連絡されたように、今週の土曜日13日に、「学習法指導会」が行われます。レッスン4教室で、13時20分からです。
忙しい大学生活を割いて、在校生諸君のために今回も6名の先輩が来てくれます。文系3名が、理系が3名、この春と昨年春に卒業された先輩達です。
進学した大学は、東大が2名、明治と立教と上智と東京農大が1名ずつです。
皆さん、部活動や学校行事、生徒会活動も頑張りながら、志望校へ合格しました。

3年前から学校が始めた取り組みに、「サポーターバンク」があります。
数多くの卒業生の皆さんが“何か役に立つことがあったら協力しますよ”と、学校が設けたこのバンクに登録してくれました。秋の大学キャンパスツアーなどでおおぜいの卒業生達が在校生のために協力してくれています。
この「卒業生による学習援助」の一貫で、昨年初めてこの「学習法指導会」を開いてみました。それがすごくタメになる内容で、我々教員では代われないような貴重なアドバイスがいっぱいありました。実践的で説得力があって大好評でした。
私も聞いていて特に印象的だった話を2つ紹介します。1つは予備校のこと、もう1つは英単語のことでした。

Q1 予備校へは行くべきですか。学校の授業と両方をやっていけるのですか。
Q2 有名な先生がいる都内の予備校へ行こうと思っているが、どうでしょうか。

A1 予備校へ行ったから自動的に成績が上がる訳ではない。遠くまで往復する時間がもったいないし、有名な授業を聞いただけでは実力にはならない。自分が一人になった時にどこまで作業できるか、頑張れれるかが勝負。あれもこれもと手を広げ過ぎてどれも消化不良になりやすいから注意しよう。各科目で“今、自分のメインの教材は何か”を明確にしてその教材に集中しよう(ある先輩は「ドラゴニングリッシュ」を手に掲げて説明していました)。もちろん予備校に行ってもいいけど、やる以上は中途半端にならないように。そのテキストを完璧にやり切って欲しい。
 
A2 学校の授業をおろそかにして、結局は効率が悪くなる痛い経験をした。数学の授業をさぼった時期にやっていた単元の「空間ベクトル」などが苦手分野になり、結局センター試験まで足を引っ張られてしまった。学校の授業に集中してまず基礎をつかむ方が能率がいいと気づいた。

Q3 英単語は、高1から高2でどのくらいやっておくべきですか。
A3 単語や熟語の語彙は、高3から本格スタートでは間に合わない。まずこの一冊をやり切ったという本を作ろう。ターゲットでも速読でもデュオでも何でもいいが、学校の朝テストも利用して一冊をやりきるのは効果的だ。あと家で夜、机に向かって2時間もやるのはもったいない。まず電車の中とか毎日の「隙間時間」にやると決めてバンバンやるといい。

以上です。何かヒントになる部分があればと願っています。
大事なのは、まずこの夏です。学園の夏期講習も校内と合宿でたくさん設定されます。“夏を制する者は受験を制す”という金言があります。夏に復習と点検に打ち込み、秋の飛躍を誓って努力を続けられるかどうかが問われます。自分が選んだ教材を完璧にやり切る決意を持って、コツコツ続けていきましょう。
高3諸君は、もちろん受験一筋です。高2や高1の諸君は、勉強以外に部活の練習、大会や合宿、秋の学園祭準備、海外セミナーへのチャレンジなど大きな目標が控えていることでしょう。どうかそれぞれ、充実感あふれる夏休みにしていきましょう。
・・・・・・以上です。ご静聴ありがとうございました。