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月別 校長通信

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第734回 それぞれの人生~7年ごとの記録(2)

2013年9月12日

  前期期末試験の第4日です。今回は昨日の続きをご紹介します。

  この番組に登場する青年の中には、日本の経済や社会の現実を色濃く受けとめる境遇の中で、苦労の大きかった人達もいます。

 

 健太君は、宮城県の専業米農家の長男でした。7歳当時に一番大切なのは「食料」と明るく答えた彼は、14歳の時は「跡継ぎ」のプレッシャーに直面して表情が重く、高校卒業後は地元の企業に就職し、現在は住宅建材関係の工場で働いています。田植えの季節はかつて一家総出の活気ある仕事でしたが、今は減少した農家が共同で何とか続け、その時は本人も手伝っています。この先実家の仕事と生活がどうなるのか、自分の役割に方向が見えない暗さが印象的でした。

 

  孝枝さんは、瀬戸内海の小さな島で定期船を動かす家の明るい子どもでした。7歳の時は祖母と同じ船長になりたいと話し、島の過疎化や高齢者の今後を案じていました。14歳の時は本土の学校に船で通い、部活も友達と遊ぶ時間もとれない不自由な生活と孤独の中で、もう島から出たいと話す表情に陰りがありました。高校を卒業後、島を出た彼女は四国本島でひとり暮らしを始め、その後高齢者施設で介護の仕事に就き、そこで出会った優しい男性と結婚して、新居浜市で2人の子どもに恵まれて暮らしています。もう島に戻ることはないとの決心は変わらずとも、お年寄りのお世話をしたいとの幼心は別の場所で発揮されていました。

 

  登場した全員の軌跡について紹介したい気持ちですが、ごく簡略にあと数名の紹介にとどめます。伊万里市の窯元に生まれ、家業の傾きや不登校も経て新たな焼き物ビジネスを模索する内気で優しい男性。歌舞伎の非名門一家に生まれて名脇役の父の遺志を継ぎ、すでに一座のリーダーとして活躍するたくましい男性。在日米軍の集中する沖縄で大の仲良し、その後それぞれ結婚と家族で苦労も経験しながら今も沖縄で暮らす2人の女性。北方領土生まれの祖父に可愛がられ、今も根室市で両親の経営する民宿で働く女性。小さい頃から野球に打ち込んでプロ野球選手を目指したが、今は家業の印刷工場で働く大阪の在日の男性。中国生まれで家族と都営アパートで暮らしたが、家族も親族も次々帰国して一人となり、今は外食関係のチーフを務めて結婚をしたばかりの男性・・・・・・。

 

  それぞれの人生に、時代の変化が投影され、経済や国際関係ゆえに背負ったいわば“宿命”がありました。でもその中で懸命に自分の人生を築いてきた姿、時には選択し決断して幸せを求めて生きてきた姿に深い感銘を覚えました。
 概して14歳の時期の暗さや、家族への反発の様子が共通しているのも印象的でした。28歳ではそれまでの足跡をいわば総合して、懸命に進路を探る、坂道を登っていこうとする姿が頼もしく、それぞれに人間的な魅力を感じました。

 

 この番組は、担当者がバトンタッチで続けていくロングランの稀有なシリーズです。実はイギリスの「7年ごとの記録」という番組をモデルに、旧ソ連や日本でも企画されたドキュメンタリー番組なのです。両国の最新版も先日放映されましたが、本家の英国編は「56歳になりました」(!)の特集でした。

 

 日本版のこの番組は、ぜひひとりでも多くの方々に観て頂きたいです。「再構成版」は、9月20日(金)に前編が、27日(金)に後編が、今度はNHK教育テレビ(Eテレ)で、午後11時から55分ずつ放映されます。録画も含めてぜひご家族で視聴してみて下さい。