第171回 お母さんになって:ある卒業生の訪問

2011年1月14日

お母さんになって:ある卒業生の訪問

なつかしい卒業生が、水曜日に学園を訪ねてくれました。今日はこのことを紹介したいと思います。
須藤聡美さんです。年賀状の交換で可愛い男の赤ちゃんの写真を載せてくれて心ひかれました。母親になった報告もかねて中高の教員室まで改めてご挨拶に伺いたいと申し出てくれ、1歳2か月になった元気君を連れて来園してくれたのです。
元気君はもうよちよち歩きができて、めちゃめちゃ可愛い坊やでした。初めは人見知りしていましたが、別れる前にはすっかり慣れて、僕の鳴き真似にもはしゃいでくれました。可愛いスーパーショットを2枚載せさせてもらいます。

彼女は中学から学園に入学しました。自分の妻と同じ名前の中1生徒がいると気づき、試験監督に行った時に声をかけて、それ以来の知り合いになりました。中3から彼女のいる学年に入り、高1では担任になりました。
直接のつながりはその二年間だけでしたが、特活(総合学習)でお世話になった栃木県足利市の「こころみ学園」へどうしても行きたいと申し出たグループの 一人でした。8名ほどが集まり夏休みに埼玉~栃木の小旅行をしました。丸木美術館や足尾鉱山跡なども巡り、ワインやしいたけを生産する上記の施設に泊めて 頂いて、知的障がいを持った入所者の皆様と交流しました。
聡美さんはひとり娘で、心優しく温かい女生徒でした。周囲の人達への気配りや社会的弱者に対する眼差しが印象的でした。卒業後彼女は、福祉の専門家を目指して勉学を重ね、介護福祉士となっていくつかの職場を経験しました。

学齢が一緒の旦那さんは、偶然にも小学校は学園育ちでした。大学院を出て会計事務所に勤め、念願の税理士になりました。いまは中小企業診断に関わる通信 教育の指導などの仕事に就いています。二人が出会ってつき合った年月は長く、二人の実家もお互いに近くて恵まれていました。
彼女は将来子どもが大きくなったら、また自分の専門を生かして両親と社会に貢献したい強い意志を持っています。教員室を訪ね、お世話になった大勢の先生方の祝福を受けながら、可愛い息子さんを紹介することができました。

世間では、30歳代の世代の“受難”が話題になり、「ミドルエイジ・クライシス」という言葉まで流行しています。そうした中で、卒業生の須藤さんご夫婦 の、着実で志ある生き方に接して、静かな感動がありました。中学・高校時代とまるで変わらない温かい雰囲気と身についた母親らしい振るまいがとてもすてき でした。再会を約束するとともに、このように卒業生諸君と会える機会をこれからも多く持ちたいと思いました。