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月別 校長通信

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第759回  “難民高校生”からの旅立ち(つづき)

2013年10月19日

昨日からのつづきです。
仁藤さんは大学生活では、様々なボランティア活動に参加します。途上国の住民のために、共に家屋の建築に汗を流す活動などで、海外にも出かけました。

その中で、「難民高校生」のテーマも解決を図るべき社会問題であり、そこには自分の大きな使命があることに気づきます。
あんな高校時代を過ごした自分だからこそわかることや言えることがある。後輩の高校生達に、世の中は広くて夢や希望を持てるし、理解し合える大人もいることを伝えていきたい、と決心したのです。

 

大学2年の時に「ハビ☆コレ」というフェアトレードのファッションショーのイベントを企画しました。トークショーやメークショーも入れて楽しみながら世界の現状を知る機会になり、大盛況となりました。大人と若者が一緒に取り組むことで相互理解と視野が広がり、若者がどん底からも抜け出すきっかけになる手応えが広がりました。

東日本大震災が起こると、仁藤さんは宮城県石巻市に向かいます。被災地では出会った高校生や中学生とも語り合うようになります。孤独と絶望の極にあり、“一人りになれる場所も泣ける場所もなかった”男子や女子は、仁藤さんと話す中で笑顔をとりもどしていきます。
そして高校生達が「支援される側だけにいたくない、自分も地域の役に立ちたい」と考えていることをつかみます。そこで郷土菓子を作る製菓会社と女川高校に働きかけ、地元企業と高校生の生徒会メンバーのコラボで、共同開発の案を起ち上げ、義援金付き菓子「たまげ大福だっちゃ」を世に出したのです。各地の学園祭でも協力が広がり、全国で4万個近くの売り上げを達成しました。

 

仁藤さんは大学卒業後のいまも、震災後に発起した一般社団法人「Colabo」を拠点に、若者と大人や社会をつなぐ取り組み、共同のコラボを求め続けています。女子高校生の居場所づくり、若者の実態調査と発信、学習支援事業などを行いながら、後輩の世代を見守り、支え続けています。
“自分だから出来ること”は実は必ずたくさんあるから、高校生にはどんなに絶望しても諦めずに生きてほしい。必ずわかってくれる大人はいるから、その出会いも求めつつ希望をもって生きてほしい、と彼女は動き続けています。

 

この本の終章「若者が夢や希望をもてる社会をつくるには」で仁藤さんは、まず「大人にしてほしい3つのこと」を述べています。そして「何かしたいと思っている人へ」として「一歩踏み出す3つのヒント」を提起し、「10代のあなたへ」として「幸せになるための3つのヒント」を助言しています。
彼女は本格的な「大人への旅立ち」の前に、若者のひとりとして、まだ当事者として語ることのできるいま、若者のリアルを伝えたいと心決めしてこの本をまとめました。「若者と大人の橋渡し~自分だから出来ること」を自覚し、「若者と社会をつなぐきっかけの場づくり」に取り組み続けているのです。

 

人生とは、辛いことや悲しいこともすべて統合して、幸せを求めて前を向いて歩き続けることだ、とこの本を読んで強く感じました。また若者と向き合う大人の一人として、外観とか見た目だけで若者を決めつけずに、同時代に生きる仲間としてその悩みや模索を理解し、対話や協力を広げていかなければいけない、と改めて思いました。