第88回 湘南学園てらこや・学園長先生のワクワク授業(その2)

2010年9月10日

てらこや第2回の授業は、意外な方向に発展しました。先生は、次にとつぜん、ギターとウクレレを取り出されました!・・・これはPTA会長であり楽器の名手である、辻様が持参して下さったのです。
仲本先生は、低音の「ミ」と次に高音の「ミ」の間に、ギターの弦の長さでちょうど2倍の開きがあることを指摘されました。新しいプリントで、ミ→レ→ド →シ→ラ→ソ→ファ→ミ→・・・・・・と半音階ごとに弦の長さは「1.06倍」ずつ長くなっていること、その1.06倍を12回繰り返すと弦の長さが約2 倍になるという、オクターブの世界の原理を説明しました。

新しい知識を豊かに体感できるようにと、次は「1.06倍を利用した音階の紙笛をつくる」課題が提示されます。PTA役員の皆様が、「工作用紙、スト ロー、はさみ、カッターナイフ、セロハンテープ、両面テープ」を手分けして段取り良く配って下さいました。紙のある場所に正方形の穴を切り抜き(吹き口に なる)、それぞれ指定の音階に合わせて一定の長さで用紙を切る。さらに紙の筒をつくり(水道管も利用して丸める)、ストローを紙の筒に注意深くテープで止 める。澄んだ音が出るよう、角度を工夫して完成!
私もきれいな「ミ」の音が出ました。参加者一同で「ドレミファソラシド」をつなぎましたが、難航する人もいて、手伝いの輪が広がりました。♪春の小川♪の演奏までは行きませんでしたが、「計画的なミニ楽器づくり」の楽しさと達成感がありました。

最後に、奥行きのある補足説明がありました。まず「のび太のお年玉」です。悪知恵を得て(?)「1月1日は1円、2日は2円、3日は4円と毎日、前の日 の2倍でいいよ」というのび太の策略に、お母さんは「そんな少しでいいの、あとで泣きつかないでね」とはまってしまうのです。「12月31日までよろしく ね」、「お安い御用だわ」・・・・・・さてどうなったでしょうか。
「何でも比例関係で世の中を見るととんでもない落とし穴がある」というこわい実例は、他にもいろいろ身のまわりにあります。夏に多い食中毒の原因となる サルモネラ菌の爆発的な繁殖とか、高い金利なのに返すのが遅れてしまいどんどん溜まる借金とか。先生は、今回の「1.06倍」という倍率に注意を促しまし た。12回目でちょうど2倍になるという判りやすい目安です。貯金の利子や土地の値上げなど、7%、10%、18%といった差は後々大きな差額になってい くことを示されました。
こうした変化を体系的に扱うのは「高校で学ぶ指数関数」ですが、このように数学の世界は私達の生活とも深く関わり、その世界を知ることで生活に関わる社 会のしくみもより深く理解したり、役立てられることが最後に示唆されたのです。・・・・・・数学、音楽、工作、社会と、いろんな領域に話題が広がりなが ら、全部科学の眼でつないで考える機会ともなった、楽しく、素晴らしい授業でした。