第72回 中学・高校それぞれの朝礼から

2010年7月6日

寝苦しい夜が続いています。私も掛け布団をかけずに寝てしまう日があります。小田急線で通勤していますが、最寄り駅に着いた帰りに、駅の階段沿いのスーパーにいつも入ってしまいます。良く効いた冷房に誘われ、スーッと身体がひとりでに動いてしまう感じです。夏風邪をひかないようにしたいものです。

この時期に、全校朝礼を中学、高校に分けて実施しました。
先週28日(月)は、中学朝礼を行いました。特に運動部の中学部員は、7月の第1週と第2週に「藤沢スポーツデイ」で、一斉に各大会を迎えます。特に中 3部員にとっては重要な区切りの大会であり、ここで結果を出そうと新年度も練習を重ねてきました。まず柳下教頭先生より、今日の朝礼は中学の各運動部の壮 行会を兼ねて設定したこと、練習の成果をぜひとも発揮して結果を出して欲しいとの激励の話がありました。続いて各運動部の中学キャプテンの男女がみんな前 に勢揃いして自己紹介と決意表明を行い、全体を代表してサッカー部の中3C鉄田君が、力強い代表挨拶をしました。また生徒会総務委員の中3A井島君が、生 徒会を代表して心のこもったエールを送りました。司会の教務主任の服部先生からも、サッカーW杯日本代表チームの活躍にふれての励ましの話がありました。

昨日の5日(月)は、高校の朝礼を行いました。高校生は何といっても夏休みを目前にして、各自の学習計画を構想し、強い意志で取り組む決意をもって欲し い時期です。校長の話に続いて、学習進学指導主任の野々内先生から、高校各学年の生徒諸君に対する具体的な助言の話がありました。
高1諸君には、まずこの3か月の学習内容を徹底的にマスターする総復習が実はかなり重要なのだとの指摘がありました。高 2諸君には、受験まであと1年6か月、コンスタントな学習の継続が求められる。この夏は特に英語や数学に力点をおいて学習して欲しい。入試までに英単語集 を3ラウンド繰り返すとして一日10個ペースのマスターを図ることも必要になるとの助言がありました。高3諸君には、この夏休みに休むことなく、一日10 時間以上の学習を続けると心決めして欲しい、自分が今出来る事と出来ない事をしっかり認識し、出来ない事をひとつでも多く出来る事に変えていく地道な積み 重ねをやり切っていって欲しい、との助言がありました。
各自の「とっておきの夏休み」を充実させる計画と努力を期待しています。

【校長からの話】 朝礼での話を前回同様、参考までに載せさせて頂きます。

高校生の皆さん、おはようございます。
今日は夏休みを目前にした皆さんへ、少しでも何か励ましになる話をできれば、と考えました、つたない話ですがどうか聞いて下さい。

サッカーのワールドカップで、日本チームはベスト16まで進む大健闘をしました。特に4試合でたったの2失点、という堅い守備は高く評価されるでしょう。 岡田ジャパンは、日本を出発する時の見送りは、たった40名だったそうです。でも日本へ帰国した時の出迎えは、過去空前という4200名でした。

私が一番ドキドキし、今も強く心に残っているのは、パラグアイとのPK戦の時のことです。大試合になればなるほど、PK戦は残酷です。
日本は3番手の駒野選手が失敗して、全員が成功したパラグアイに敗れました。
試合が終わったあと、崩れそうな駒野選手を一生懸命に支えて、ずっと彼を慰めるチームメイトの姿にすごく感動しました。駒野選手の肩を抱きかかえて支えている松井選手達も泣いていました。
駒野選手の応援で集まった和歌山市では、彼のお母様が「みんなに申し訳ないです。本人が一番悔しいと思うけれど、よく戦ってくれました。皆さん応援ありが とうございます」と言うと、400人のサポーターが温かい大きな拍手を送ったそうです。お母さんは本人に試合後、「いい試合を見せてもらったよよ。ありが とう」とメールを送ったけど、やはり返事はなかったそうです。
28歳の駒野選手はもう結婚していて、3歳のお嬢さんがいます。その奥様からはお母様に、「帰ってきたら一緒に彼を支えましょう。それが私の役目ですから」というメールが届いたそうです。胸の熱くなるお話です。
駒野選手は、帰国した関西空港でも笑顔はなく、記者会見上でも厳しい表情でした。PKはもともと得意で、プロになってから公式戦でPKを失敗したのは初め てで、中学以来かもしれない、と語ったそうです。どんなにつらかったことでしょう。試合後チームメイトからは、「俺がけっても外していたよ」とか「胸を 張って帰ろう」、「上を向いて帰ろう」と次々と励まされ、お母様や友人からは30通ものメールの励ましを受けて、やっと前向きに帰国する気持ちになったそ うです。駒野選手は、記者会見後の取材で、「この悔しさを心に刻みこんで、4年後のブラジル大会では、ベスト16を超えたい」と語りました。

大会が始まる前、岡田ジャパンは練習試合で敗戦を重ねて、厳しい視線を集めました。選手だけのミーティングを開いた時も意見がまとまらず、重い雰囲気が あったそうです。トゥーリオは、何度もDF陣を集めて「へたくそなりに泥臭いサッカーをやって絶対勝とう」と訴え続けました。
しかしW杯本番になり、試合ごとに、チームの結束力はどんどん高まりました。
帰国した岡田監督は会見で「選手達は素晴らしく、日本代表、アジア代表としての誇りを持って、試合ごとに素晴らしいチームになっていきました。もう一試 合、一試合やりたかったという思いは残ります。自分たちのワールドカップが終わって、非常にさみしい気持ちでいっぱいです。」と話していました。
岡田監督は、どんなに辛い時でも、「ベスト4」という目標を公言していました。もちろん厳しいリーグ戦を抜ける「一次予選突破」という大きな壁にまず直面しました。そこを見事に突破して、日本のサッカー界全体の希望をしっかりつないでくれたのです。

今回のワールドカップで改めて感じたのは、人間は強い目標を持つと、困難を乗り越える大きな力が出るんだということでした。 ここにいる皆さんは、部活でも頑張っている人が多いです。そして次の大会へ向けて、チームはまたは自分はこうするぞという目標を明確に持っている人は、実力のアップが期待できるでしょう。
そしてここにいる皆さん全員には、大学受験~希望校合格~大学進学という大きな目標が待っています。もちろん高3の皆さんにとっては、目の前の大きな関門です。高2や高1の皆さんにとっては、もうはっきりとあるいはぼんやりと目標が見えてきていることでしょう。
皆さんにまず期待したいのは、ぜひ「こだわりの第一志望校」を持って欲しい、ということです。「こだわりの志望校」を持つ方が、この先絶対に頑張りが効くからです。成績躍進の可能性を強められるからです。
皆さんの先輩達がたたかった軌跡をいろいろ振り返って、その事は断言できます。「どこでもいい」では、スランプになると妥協を重ねてしまいやすいものです。
「こだわりの第一志望校」を明確にするには、自分の将来の方向性をじっくり考えて決心することが求められます。またその大学についての情報を、学校案内や ネットや、先生・先輩からいろいろ集めて、できれば実際にその大学のイベントに足を運んで、自分のやる気を高めることが絶対に有力です。そして皆さんに とって、この夏休みの過ごし方はとっても大切です。ここをどう有効に活用できるか、どう学習のリズムを築けるかが問われます。「夏を制する者は受験を制す る」なのです。
この後、学習進学委員会の野々内先生から、具体的な学習課題や進め方についてアドバイスがありますからしっかりと聞きましょう。
・・・・・・では以上で私の話を終わります。