第972回 湘南学園の「不易流行」について

2014年10月17日

中高一貫教育を行う本校は、中学新入生の皆さんを、学園小学校からの内部進学と中学受験を経た外部入学の2つのルートでお迎えします。両者の比率はおよそ4対6の割合で推移してきました。

毎年、中学受験の指導を行っておられる多数の塾の先生方のご推薦やご尽力に支えられています。いつも感謝の気持ちでいっぱいです。年間を通じて学校の内外で塾と連携する説明会や相談会を開催させていただいています。

 

先日ある塾主催の校内説明会で、学園の教育を深く理解され、毎年多数の児童を送って下さるスクール長の先生が、次のようなご挨拶をして下さいました。

湘南学園は、ずっと変わらずに大事にしてきた志がある一方で、ここ数年間大きく変わり続けてきた私学である。子ども達の成長は驚くほどめざましいし、時代も急速に変わり続けている。次に入学する新入生が6年後に迎える大学受験も大きく変貌しているだろう。湘南学園はそうした変化もとらえて、更なる教育の充実を図っていける学校であると信じている。今日の説明会でじっくり聞いて見て、理解を深めていただきたい。

 

とてもありがたいお話でした。本校がずっと変わらずに守ってきたのは、子どもの成長と幸福を願って教職員と保護者が連携して学校を運営し、より良い教育をはかって協力してきたことです。建学の精神を踏まえて何よりも在校生が自主性を発揮して活躍できる場面を大切にし、将来につながる人間力の育成を図ってきたことも、歴代の先生方が一貫して大事にしてきたことでしょう。

一方、グローバル時代の進展により膨大な情報や便利な機器に取り囲まれながら、子ども達を取り巻く人間関係が希薄になり、思いきり身体を動かして仲間と遊んだり取り組んだり、社会に生きる大人と関わって直接に学ぶ機会は少なくなってきた現実があります。本校ではこの10年ほどで国際教育のプログラムを一気に拡充し、総合学習の系統的な充実や卒業生との連携強化を図ってきました。食育の課題に沿ったカフェテリアの発足という全学的事業の恩恵にも預かっています。

 

80周年記念誌で、辻理事長は「不易流行」という言葉を軸に、湘南学園の到達点と課題を鮮やかにまとめて述べられています。子ども達の「強い人間力の育成」を願って、教育のあり方を絶えず見直し、改めるべきは勇気を持って速やかに対応していくことが大切であり、今後も一層進んでいく国際化や情報化など社会の変化にも的確に迅速に対応していくことが重要であると指摘されています。全ての場面で子ども達が主役になって輝けるよう、子ども達に自分の能力を使う機会を与えて更に伸ばしていけるように、学園関係者は今後も力を合わせて教育環境の整備に尽くしていこう、と語られています。

 

カフェテリアのある80周年記念館には、学園同窓会の事務所も設けられています。その間の共有コーナーには、学園の歴史を知る上で貴重な写真や地図が、歴史の変遷に沿って展示されています。学園の歴史に最もお詳しい同窓会の方々のお力添えにいつも感謝するばかりです。

 

上述した塾の幹部の先生方も、昔の学園の校舎をくっきりと記憶して下さっている方々が多いことに驚きます。10年前、20年間の写真や地図を興味深くご覧になって下さるのがいつも嬉しいです。先生方のご期待にも応えられるよう、これからも教育の充実に努めていきたいです。