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月別 校長通信

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第974回 フリー・ハグズ~若者たちの勇気

2014年10月20日

ある在校生の保護者に紹介して頂いた、若い世代の間に世界的に広がりつつある、小さな運動について紹介したいと思います。

「フリー・ハグズ」です。個人が街頭で、見知らぬ通行人にサインを掲げて、合意した人とハグ(抱擁)をします。人と人の間に愛・温もり・平和など素晴らしい何かを生み出そうという活動です。アメリカのジェイソン・ハンターという人物が2001年頃に始め、インターネットを通じて世界に広まったそうです。

見知らぬ人が出会い、ささやかな勇気でハグし、お互い素直に笑顔になって温もりや癒やしの気持ちを共有する。ただそれだけの事ですが、世界に広がったその様子を動画で観ると、とても新鮮で感動を呼ぶ光景です。

創始者のハンターは、彼の母親がたくさんの人びとを抱きしめ、どんなに相手が大切な人かを伝える素適な人だったこと。そのことを母親を亡くして痛切に思い出し、「フリー・ハグズ」と記されたプレートを持って、マイアミの海岸を歩いてみたそうです。そして、我々は仕事や民族が違っても、同じ人間として自ら歩み寄ることができるはず。親切で励みになる行動が我々の日常に変化をもたらすはず、とこのメッセージを広げていったそうです。米国から世界各地に広まり、日本では2006年から話題を広げ、フリー・ハグズを試みる人びとが全国的に増えたそうです。

 

上述した保護者に合わせて教えて頂いたのは、日本人のKさんという若者が、一人で韓国や中国に出かけて、街角でフリー・ハグズを呼びかける動画でした。

「2011ソウル編」や「2013年ペキン編」は、近年の日韓関係や日中関係を想起した時、数分間の動画はそれぞれに鮮烈で感動的です。竹島や尖閣、領土問題が絡んで国と国の関係が悪化する中で、この勇気は何だろうとの驚きと、思わぬ交流の広がりに惹きつけられます。プレートには韓国と日本、中国と日本の国旗があしらわれ、「FREE HUGS FOR PEACE」や漢字表記で呼びかけがなされます。初めてハグに応じる人が現れるまで、向こうへ行けと不快感を示される場面を経て、どちらも次々と交歓に応じる人びとが続いていきます。中心は同じ若者の男性や女性でした。小さな子どもや年輩の大人もいました。

紹介してくれた保護者は、“正直泣けてきました。若い人ってすごいなあ、と強く強く思いました”と語られていました。

自分にはまずとても出来ないことと思われました。現在の社会状況からすれば、暴力を伴う反応すら予想してしまい、正直にいって在校生やわが子達にもお勧めはできない気持ちです。

でも若い世代や我々の世代に、このしなやかな勇気をまずは動画で観てほしいな、と思われます。ハグズは出来なくても、お互いに分かり合えると信じてこちらから歩み出してみる勇気は、いつでもどこでも求められるものでしょう。ではあなたには代わりに何が出来るのですか、と問いかけられる気持ちにもなります。

 

抱きしめるのは、シンプルに皆を笑顔にする1つの方法です。ノックス校のティナ先生のことを思い出しました。彼女はハグズの“名手”であり、出会った人とすぐに打ち解けてフレンドリーになれる達人です。彼女がやったらバッチリ!と思われました。

日本の若者たちがこうしたささやかな勇気に共感して実行し、仲間を広げようとしていることに、小さな希望を見い出す思いになります。