第994回 創立81周年を迎える湘南学園

2014年11月14日

明日の11月15日は、湘南学園の第81回目の創立記念日にあたり、休校の扱いになります。改めて本学園の建学の精神と独自の使命を確認したいと思います。

 

湘南学園は1933年(昭和8年)に誕生しました。世界大恐慌の影響が国際社会を直撃し、経済の危機からヨーロッパではファシズムが台頭していました。日本はこの年に国際連盟を脱退し、軍国主義の風潮が浸透しつつありました。 そうした時代の中で、藤沢市の鵠沼地域の住民や有識者の方々が、子ども達の成長と幸福のためにより良い教育環境を設けたいと本学園を建学されました。まず小学校と幼稚園が設けられ、大戦後には中学校と高等学校が設立されて総合学園となりました。その後長い歴史を経て、中学高校の一貫教育の体制が確立されてからは20年近い年月が経過しています。

昨年は創立80周年の節目を迎えて、全学の記念事業を具体化する「チーム湘南学園」の協議が進められ、PTA・同窓会・後援会の方々が大変なご尽力を寄せてくださいました。音楽祭を筆頭とする素晴らしいイベントが開催され、本格的な募金活動を展開して80周年記念館が建設されました。その中核となるカフェテリアは、食育の志を掲げて設立された独自のNPO法人によって開業されました。「みんなで創る子ども達のための学園」という本学園のDNAが存分に表現された80周年になったのです。

 

湘南学園の建学の精神は、第4代学園長の大久保満彦先生が明確に表現され、その後本校の教育理念を表現するテーゼとなりました。
個性豊かに、身体健全、気品高く、明朗で実力があり、
社会の進歩に貢献できる、有為な人間の育成

第8代学園長の藤岡貞彦先生は、この建学の精神を踏まえて、更に21世紀のグローバル時代を踏まえた中高教育の課題について、
世界に通じる、良識ある市民の育成
という視点を提唱されました。

そして、第9代現学園長の仲本正夫先生のご指導のもとで、幼小中高から成る総合学園としての教育の充実が目指されています。全学的な教育実践の交流と相互理解が前進し、全学の運営でも緊密な相互の連携がはかられています。

 

中高では、特に建学の精神に沿って20年以上追究してきた総合学習を深め直し、ユネスコスクールに加盟しました。学習進学指導を充実させ、国際教育プログラムも拡充し、様々な領域にまたがる教育実践をESDの視点で統合しつつあります。在校生諸君が豊かな認識と行動力を持ってそれぞれの進路を選択していける教育の充実を探究しています。

世界には重要な諸課題が山積しています。むき出しのグローバル競争の規制が困難な中で新たな貧困や格差が広がり、人間の生命や生活が脅かされています。生物多様性や地球環境はいぜん深い危機に直面しています。諸民族の相互理解と交流は大局的には前進しつつも、対立や確執が再燃して新たな危機にも直面しています。東日本大震災を経て、生活や価値観を見直す動きも広まり、持続可能な地域社会の確立へ向けて懸命の努力や模索が続けられています。

 

生徒諸君には、湘南学園の中高6年間のステージで地道に学習に取り組むとともに、豊かな体験や交流を重ねて、意欲と希望を持って大学生そして社会人へと歩み出て、それぞれの確固とした幸福を築いて欲しいと願うものです。

湘南学園の建学の精神は、今日の情勢の中で的確に普遍的な課題を示しています。日々の教育のしごとと結びつけて深め直しながら、在校生の皆さんの成長を願って精いっぱいの関わりと指導に努めていきたいと考えます。