第1002回 読書の秋2014~21世紀の「未来」を考察する ①

2014年11月26日

紅葉・黄葉の景色は、晩秋からの大切な贈り物です。街や公園で、色とりどりのグラデュエーションが、通り過ぎる人びとを楽しませてくれます。

落ち葉が地面や道路を包んで広がり、やがてサッと風に舞うのは、ものがなしくも美しい光景です。足早に去る秋をしっかり楽しんでおきたいものです。

 

今日は、特にお勧めしたい新書を1冊を紹介いたします。

『21世紀はどんな世界になるのか~国際情勢、科学技術、社会の「未来」を予測する』(眞 淳平著、岩波ジュニア新書770・2014年4月刊)という本です。
タイトルはごく硬派であり、扱うテーマのスケールは大きく、内容の濃さや豊かさは傑出していました。高校生や中学生、関心のある保護者の方々にぜひ読んで頂けたらと願い、その概要をまとめてみたいと思います。

20世紀の百年間、世界は大変なスピードで変化を続けました。たとえば交通手段や科学技術では、飛行機や自動車、コンピュータやバイオテクノロジーなどが普及して仕事や社会を大きく変えました。21世紀に入ってもますます生活は便利になっていますが、社会や自然で大切なものを次々と失いつつあります。

『未来予想図』という言葉がありますが、これから先の人類の未来の姿はどこまで予想できるのでしょうか。どのように変貌していくと予測され、どう修正することが可能なのでしょうか。

 

この本の構成は、21世紀の半ばから後半にかけての世界を展望して、まず「かなり確実だと思われる未来」を紹介し、続いて「可能性が高い未来」について多方面から追究しています。

そして「危険な未来」の可能性について、人類がより便利な社会を目指して失うものは何かを探ります。終章では以上をふまえて「私たちはどのような未来を選択するのか」として、簡潔なメッセージが寄せられます。

次回はその具体的な予測を中心に紹介します。(明日へつづく)