第1072回 中学校修卒業式と高等学校修業式

2015年3月23日

本日は、今年度のしめくくりにあたる重要な一日です。

始めに中学校の修卒業式を実施しました。学園歌斉唱、中学1年生および2年生の修業証書授与、中学3年生の卒業証書授与、3学年の皆出席賞授与と成績努力賞授与、中3の私立中高連合会賞授与、校長式辞を行いました。

続いて高等学校の修業式を実施しました。学園歌斉唱、高校1年生および2年生の修業証書授与、皆出席賞授与、校長式辞を行いました。また中学・高校ともに部活動関係の受賞者の表彰を行いました。

なお中学3年生は、式が終わった後にカフェテリアで「卒業セレモニー」を行いました。クラス委員会と総務委員会が中心となって企画されたもので、3年間を共に過ごした仲間や先生と想い出を振り返りながら4月からの新しいステージへ進むきっかけにしてもらいたいとの願いから計画されたものです。

 

また、午後1時からは、恒例となった「高2ファイナルステージ2014」が行われます。今年度も合唱部、演劇部、ダンス部、軽音楽部が、この順で約1時間ずつの公演をホールやアリーナで行います。在校生はもちろん卒業生や保護者、一般の方々に広く公開されるので、大勢の方々に鑑賞していただきたいです。詳しくはHPのトップページ~学びBLOGをご覧下さい。

 

中学も高校も、各クラスは本日が最終日です。一年間同じ教室で生活してきた級友と、ひとまずはここでお別れとなります。

担任の先生からはこの一年間を振り返っての思いやまとめが語られ、来年度へ向けてのメッセージが送られます。

中学3年のクラスでは更に特別の思いが寄せられます。大多数の諸君が学園高校へ内部進学しますが、新しい進路へ旅立つことになる諸君もいます。ここまで築いてきた友達との絆を今後も大切にしてほしいと願っています。

成績データや学年・学級の通信、連絡の配布物などが渡されます。春休みの宿題も指示されます。春休みは解放感に恵まれたすてきな時期になります。
しかし「光陰矢のごとし」です。貴重な日々を大切にしたいものです。今年度をじっくりと振り返り、様々な教材やテスト・プリント類を復習&整理し、次年度へ向けて「助走」の勉学にも努めることが求められます。

最後に校長からの話を、今回は高等学校の方で代表して紹介させて頂きます。

【高等学校修業式】皆さん、おはようございます。今日は、学年最後の全体登校日です。これで一区切りとなり、来月には新しい年度を迎えることになります。
このところめっきり気温が上がって春本番も間近です。日本中どこでも桜の開花を楽しみにしています。皆さんもご家族や友達とお花見の機会に恵まれればいいなと思いますが、どうでしょうか。

さて、クラスエリアの入口に、今年卒業した先輩達を中心に大学合格の実績がずらっと掲示されています。よく知っている先輩達の名前を見つける人も多いことでしょう。皆さんも同席してもらった、3月7日の感動的な高校卒業式の様子を思いおこします。皆さんも来年、または再来年の春にあの場面を迎えることになります。
今回の先輩達の大学受験にも様々なドラマがありました。まだ判明していない分もありますが、卒業生の人達の奮闘ぶりをいろいろと知って感動する時期でもあります。そこで今日はその中から、ある卒業生のチャレンジと夢の実現について紹介したいと思います。

 

その先輩は現役で東京大学に合格しました。実は先輩は陸上部の部長を務めていました。よく知っている後輩の部員も多いはずです。人数のとても多いクラブをまとめるのはとても大変だったはずです。先輩は高2の体育祭では開会式で選手宣誓を務めました。学園祭では実行委員を務め、ホールとアリーナを担当しました。合唱コンクールも優勝したクラスで燃えていました。

部活も行事もしっかり頑張って、第一志望の東大に現役合格できたのは本当にすごいことです。いったいどんな気持ちで、どのように学校生活を送り、勉強にはどう取り組んでいたのか。じっくりと先輩から聞いてみたいと思いました。後輩である皆さんにそのポイントをお伝えしたいと思い立ちました。
先輩のお名前は小田碩規といいます。先輩にお願いすると快く引き受けてくれました。お世話になった学園に少しでもお役に立てるのならば、在校生にどこか参考にしてもらえるのなら、といろいろ伝えてくれました。そのお話はやっぱり大切なメッセージにあふれていました。これからご紹介するので、しっかり聞いて下さい。

 

中学受験のことからお聞きしました。湘南学園は第一志望の学校ではありませんでした。でも入学して明るく和やかな雰囲気に安心したそうです。入りたかったテニス部が中学ではなく、短距離には自信があったので陸上部に入ってみたら、とても良かったそうです。最初の中間試験の学年順位は70番台でした。“自分は決して出来る方ではない”と改めて自覚しました。授業には集中し、部活で疲れても宿題や必要な復習はまじめにやろうと心がけました。次の期末試験では20番台に上がって手応えがあったそうです。試験前の勉強はほぼ2週間前から集中するようになりました。その後学年でも10位以内には入りますが、いつも学年のトップにはすごい人達がいました。もともと社会が大好きで、英語も好きになりましたが、数学はダメで、理科も生物以外は苦手意識があったそうです。

高1の時、総合学習で裁判を傍聴する機会があり、検察側と弁護側がぶつかる場面や争点を知って法曹界に興味を持ったそうです。国際関係や哲学にも興味が広がりました。世界史を始め社会系の勉強が面白く、国立の文系を志望先に意識するようになりました。高3になってから苦手な理数系にも勉強時間をまわさなくてはならないので、とにかくまず英語を伸ばそうと決意しました。学校でも、通い始めた予備校でも、英語の重要性をいつも言われ、素直に受けとめて、日々英語を頑張るようにしました。電車の中ではいつも、英単語集のターゲットを中心に繰り返すようになります。例文も含めて1冊完璧にやろうと決めてやったそうです。学校の英語の教科書も、予備校のテキストも、ネイティブのリーディングをCDで聴いて、自分でも音読を心がけたそうです。音読はすごく効果があるので絶対に後輩にも勧めたいと先輩は話していました。

高2の時は、陸上部の部長として努力し、体育祭や学園祭の時期は更に忙しくなりました。すきまの時間も大事にして勉強にあてるようにしました。電車の中では単語を続けましたが、思えばここでも音読はやっておきたかったと話すのを聞いて驚かされました。調べてみて一橋や京大も考えましたが、どうせ受けるならトップを目指そうと東大を第一志望に決めたそうです。学校の英語は、担当の木下先生の指示通りに予習して臨むと、定期試験の点数も相当に伸びました。高3に入り、受験の全教科に力を入れますが、大好きな世界史と、もう一つ日本史は教科書と用語集、図表や年表をいつも読んでチェックし、担当の石原先生のアドバイスを大事にして歴史の全体像をつかむように努力しました。

 

私大受験では、慶應の法学部まで合格して自分でも驚いたそうです。英語と世界史と小論文でしたが、小論は主題がつかめてしっかりと書けました。センター試験は不本意な結果でしたが、東大は二次の比重が高いので、気持ちを切り替えて追い込んだそうです。苦手な数学は二次も上手くいかなかったのですが、難し過ぎて受験生全体であまり差がつかなかったことが幸いだったようです。
模試ではずっと合格圏内には届かない結果が続きました。私大は合格圏でも、東大の判定はD~Cの辺りになるのがやっとだったそうです。それでも模試の復習はきちんとやりぬきました。部厚い解答の冊子を使って丁寧な点検に努めたそうです。合格の知らせを聞いて自分でも驚きましたが、地道な努力が報われた喜びでいっぱいでした。

東大で同じく文Ⅲに進学されていた竹之内先輩に、受験勉強のアドバイスや精神的な部分で何度もフォローを寄せてもらったそうです。先日も一緒にお食事してもらえる機会がありました。先輩の存在は本当に大きくて、これから始まる新しいキャンパスの生活に夢を広げているそうです。

またセンター試験後も、同じクラスだけでも毎日登校して共に自習を頑張る仲間が何名もいたことは本当に励みになったそうです。赤本は25年分を集めた分厚い本を使いましたが、科目数が多くて大変でも、睡眠は6時間キープを心がけ、朝6時半には起きて学校へ行くリズムを守ったそうです。

陸上部の後輩達のことも気にかけ、声援を送っていました。陸上部は芯が強い部員が多くて、勉強の努力もすごい後輩達がいます。年々大所帯になりましたが、先輩が後輩を大事にして皆で切磋琢磨する雰囲気がずっと継承されています。夏の合宿もメリハリがあって充実していたそうです。それぞれ進学の目標は大きく掲げて、部活で鍛えた体力や精神力も生かして頑張って欲しい、と先輩は語っていました。

将来の夢は、外交関係やジャーナリズム方面など、興味ある分野がいろいろあります。世界史では主権国家成立時代のヨーロッパに一番関心があり、その影響もあってか、いま一番行ってみたいのはイギリスだそうです。

 

先輩のことをよく知っている先生方にも尋ねました。素直に人の話を受けとめ、まっすぐに真面目に取り組める先輩。部活でも人一倍後輩思いの先輩。周囲のクラスメイトがみな一目置くほど努力家の先輩でした。20日の高校2年生対象の「合格体験講演会」でも、他の仲間と共に貴重な体験談を寄せてくれました。

“東大に現役で合格する先輩”というと、何か雲の上の存在のように感じませんか。話してみるとすごくフランクで謙虚で、まっすぐに努力を重ねていく先輩なのです。学園に入学した後輩の誰もが参考にできるし、“それなら自分にも出来るかもしれない”と感じさせる貴重な経験と教訓を伝えてくれました。
皆さん、ここまでのお話を、ぜひこれからの勉強の参考にして下さい!

この春の先輩達の結果でひとつ特徴的なのは、最難関といわれる医学部・医学科への合格件数がとても多かったことが挙げられます。我々はよく「こだわりの第一志望」と表現してきましたが、「どうしても医学部へ進学するぞ」と一念発起して、一浪、更には二浪までして、念願の医学科合格を果たした先輩達の苦闘のドラマがありました。現役の先輩達も、浪人した先輩達も本当に大健闘して、次々と志望校への夢をかなえた結果が掲示されているのです。

 

今日はこの後、通知票やブルーファイルが各教室でそれぞれに届けられます。学年順位などはもちろん気になることでしょう。でももっと大事なことはこの一年間の振り返りと来年度へ向けての決意であり、遠い自分の未来を考えることです。

皆さんは来月、高校2年そして高校3年へと進級します。高校時代は、自分の進路の目標を定めて、全力で勉学へ向かうことが最も重要な課題です。
自分の時間をどう使うか、いわば「タイムマネジメント」の課題は、高校生の皆さんも我々大人も日々問われていることです。皆さんの世代では、ラインなどソーシャルメディアや、カードや機器のゲーム類など、我々の時代にはなかった楽しみがあります。一方で本気で勉強に向かって続ける生活をなかなか確立できない傾向がないかと心配しています。毎日の生活リズムをまだ自主的に確立できていない人がこの中にもいるのではないでしょうか。

この先に待っている全国競争である大学受験は、本当に厳しい世界です。まず大事なのは、向上心を持って日常の授業や、自分に課した学習課題に集中する意志です。高校生らしい自学自習の確立です。

まずはこの重要な春休みをどう過ごすか、新学期までどんな助走をするのか、自覚と実行が問われています。大まかに長期的な計画を立て、目の前の課題から地道に毎日勉強することです。「決心して、初めて、続けて」頂きたいです。来年度こそ大躍進の一年にしましょう。
それでは皆さん、どうか充実してメリハリのある春休みを過ごして下さい。4月にまた元気でお会いしましょう。

・・・・・・以上で私の話をおわります。ご静聴ありがとうございました。

この一年間も校長通信をお読みいただきまして、誠にありがとうございました。また4月の新年度開始に沿って再開したいと存じます。
ご感想やご意見などありましたら、お寄せいただければありがたく存じます。それでは皆様、初春の日々をどうかお元気でお過ごし下さい。