第1084回 カフェテリアとの提携による食育の展開 ①

2015年4月21日

湘南学園のカフェテリアは、創立80周年の記念事業の1つとして一昨年の秋に開業されました。今回はそこにこめられた教育の志と、新年度の取り組みについてご紹介いたします。

 

開業の背景には、「食育」をめぐる学園の保護者や教職員の問題意識がありました。

「飽食の中の貧困」とも呼べるほど、食をめぐる日本の状況には深刻な問題があります。食料をめぐるグローバル経済と自給率の低下、原材料や添加物など安全性の心配、若者の食生活や栄養バランスの乱れ、高齢者や子どもの「孤食」「買い物難民」などです。次世代の生殖能力の低下が進行し、婚姻問題とともに日本の人口減少をどう抑制するかまで懸念されています。
全学の学園生に対して、将来につながる本格的な食育を進めていこう、との願いがカフェテリア発足の背景にありました。

食に対する正しい知識や、日本の伝統的食材・和食に対する関心、地産地消に関する問題意識を育み、育ちざかりの在校生の健康と成長、ランチタイムの憩いに寄与するようなカフェテリアへの夢が広がりました。

 
そんな食育を展開しようと、関連業者に委託せずに自前のNPO法人を起ち上げて運営する方式が採択され、「湘南食育ラボ」が発足されました。

その中心となったのは在校生・卒業生の保護者の方々です。首都圏の多数の他私学の学食などを視察し、先進国の運営システムを研究し、専門の講習会等に通われて、独自のカフェテリアを開業して下さいました。すべての食材を吟味され、地産地消の観点を大事に地元の生鮮食品をたくさん使用され、原材料費はやや高めでも、「安心・安全」の美味しいランチを「1コイン以内」で提供して下さるという、学園生活の新たなステージが開幕されたのです。

 

現在では、ほぼ毎日利用する在校生もいますが、メニューを見て週1~2回利用する頻度の在校生が多いです。関連してアレルギーへの注意が必要なお子様については、ご家庭での管理が基本になりますが、カフェテリアでもカードへの情報入力や原材料の明示などの対策がとられています。

ランチの注文については、カードチャージ方式が採用され、「ラボカード」の取得率は中高生の90数%に及んでいます。お子様とは別に「ラボカード」を取得された保護者の方も増加しました。学校の様々なイベント、学年PTA・クラス懇談会などで来園された際に、ランチやコーヒーを利用して下さる保護者の姿も定着してきました。(明日へつづく)