A Random Image

カレンダー

2017年11月
« 10月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

月別 校長通信

過去の記事一覧

第1180回 今日から後期の学校生活がスタート

2015年10月13日

秋晴れの気持ち良い日が多くなり、一年でいちばん過ごしやすい時期を迎えたように思われます。二期制をとる本校では、今日から後期が始まります。

 

まず1校時、全校生徒はアリーナに集合し、始業式を行いました。
校長の話に続いて、新たに着任された先生の自己紹介があり、後期奨学生(中高)と前期努力賞(中のみ)の表彰を行いました。
2校時は、各クラスでホームルームをひらきました。学年集会等を行う学年もありました。生徒諸君はその後下校となり、11時からはホールで3月に行われる「第4回湘南学園ヤングアメリカンズ」の説明会が実施されました。
午後には先生方の「拡大学年会」が行われます。中1から高3までの各学年ごとに学年会と授業で関わる先生方が集まり、前期までの到達や現状について、後期の重点指導や留意事項について話し合い、意思統一をはかる重要な会議となります。

 

後期は、前期に比べて学校生活に起伏が少なく、生活リズムを築き直しやすい日々になります。じっくりと勉学や読書に取り組んで欲しいものです。
校長通信も今日から再開します。これからも引き続きご拝読をお願い申し上げます。始業式における校長からの話をこれまで同様に紹介させて頂きます。

 

全校生徒の皆さん、おはようございます。さわやかな秋晴れが続く中で、後期の初日を迎えました。これから秋を楽しみ、冬を越えて春へ向かう半年間になります。前期の反省をふまえて学校生活のリズムをしっかりと築き、実力を蓄えていくべき大切な半年間です。今日は、この一週間で世間の注目を集めたニュースから取り上げたいと思います。
昨年に続いて、日本人の科学者がノーベル賞を受賞したことをご存じでしょう。「医学生理学賞」で大村智・北里大特別栄誉教授、「物理学賞」で梶田隆章・東京大学宇宙線研究所長、理系の世界でお二人の先生が相次いで受賞されました。
昨年、ダイオード=LEDの爆発的な普及により生活や産業の進歩に多大な貢献をなしとげたと、3名の先生方がノーベル物理学賞を受賞したのに続く快挙でした。私は特に、大村先生の業績と経歴に深い感銘を受けました。皆さんもニュースで接した人が多いと思いますが、少し紹介させてもらいたいと思います。

大村先生は、アフリカや中南米の各地で多数の人びとが視力を失う、つまり失明の主要な原因となっていた「河川盲目症」という寄生虫病に効く薬を共同開発されました。世界保健機関が無償提供を始めて、治療と予防で年間約4億人がこの薬を飲むようになり、年4万人もの人びとの失明が防止されるようになったそうです。
大村先生が生み出した治療薬は、東南アジアなどで感染者が5500万人以上いる別の風土病にも効果があり、世界で3億人の患者がいる「疥癬」の治療にも使われて、重要性が更に高まっているそうです。
先生は、山梨県韮崎市の農家に生まれました。5人きょうだいの長男で、子供の頃は家畜の世話など家業のお手伝いが忙しかったそうです。韮崎高校時代はスキー部と野球部の主将を務めました。地元の国立大である山梨大学に進学し、卒業後は地元で教職を目指しましたがはたせず、東京都内の墨田工業高校定時制の教師に赴任して、物理や化学を5年間教えました。
生徒達には年齢の近い兄貴分として慕われ、山梨弁混じりの授業は熱を帯びたそうです。夕方からの授業を受けるのは工場など仕事帰りの生徒が多く、疲れた身体で懸命に勉強する生徒達の姿を見て、大村先生は一念発起して研究者を志しました。東京教育大(今の筑波大学)の聴講生を経て、東京理科大の大学院で化学を学び直し、山梨大助手を経て北里大へ転じました。36歳でアメリカへ留学し、研究成果を実用化するために製薬会社と提携し、熱帯病の特効薬「イベルメクチン」の誕生につながりました。この開発で得た膨大な特許料は、北里研究所に納められました。
大村先生の抗生物質研究室は多くの研究者を育て、31名の大学教授と120名を博士を輩出したそうです。また大村先生は、北里研究所の財政再建に尽力して成功を収め、女子美術大学でも長く理事長を務めました。
さらに絵画に造詣が深い先生は、自身のコレクションをもとに故郷の実家の隣に「韮崎大村美術館」を開設しました。その横には故郷の人達に集って楽しんでほしいと、温泉施設やそば屋さんも建てておられます。仲間と「山梨科学アカデミー」を立ち上げて、小中高校生に第一線の科学者が講義する活動も続けておられます。祖母や両親からいつも言われた「人のためになることをしなさい」との教えが、その精力的な活動を支えてきたそうです。

大村先生は亡くなった奥様の文子さんの写真と、土を採取するポリ袋をいつも携行されているそうです。先生は若い頃から研究員達と小さなポリ袋とスプーンを常に持ち歩き、通勤や出張のたびに各地の土や木の葉を採集しました。たった1グラムの土には1億もの微生物がいて、ごく稀に薬をつくり出す菌がいるそうです。採取した土を水に混ぜて、上澄み液を培養し、生えた菌を選んで増やします。菌の作り出す物質の性質を調べて、有望な菌を培養し、薬の元になる物質を精製するのです。来る日も来る日もこうした地味な作業を続けました。途上国の多くの患者を失明から救うことになった薬「イベルメクチン」は、1974年静岡県伊東市のゴルフ場そばの土の採取が発端になったそうです。当初は牛や豚など家畜の治療薬として大きな成果をあげ、次いで人間にも必ず効果があると適用されたのです。
このように自然界から有用な物質を探し出すのは、日本の「お家芸」だそうです。合成された化学物を元にした開発が主流の世界各国に比べて、日本の研究者は自然の天然物には未知の可能性があると根気強く関われる人が多く、納豆や醤油など発酵食品に馴染んでいることもあるせいか、有用な菌の培養が得意だそうです。
大村先生は45年間にわたって微生物の探究を続け、類例のない450種以上の新たな化学物質を発見し、医学や生物学、化学などの発展に寄与してこられました。
先生は、「私自身は微生物がやってくれた仕事を整理しただけ。科学者は人のためにやることが大事だ、という思いでやってきた」「日本は微生物をうまく利用してきた歴史がある。今回の私の受賞は、先輩達が築いてくれた学問分野で仕事ができたからだ」と語っておられました。
先生は学生に向けたメッセージとして、「失敗してもいいからやってみようという気持ちを絶えずおこさなきゃいけない。成功した人は、人より何度も何倍も失敗している。だから1、2回失敗してもどうってことないよ、と言いたい」と話されていました。

別のニュースになりますが、ラグビーのWカップ英国大会では、日本代表チームの素晴らしい活躍が注目されました。日本は1次リーグで南アフリカ、サモア、アメリカに勝ちました、大会初の3勝もしながらベスト8進出は逃しましたが、敗戦続きだったWカップ日本ラグビーの歴史を書き換えました。
今回の大躍進の背後にはどれだけの猛練習が積み重ねられていたのかが、脚光を浴びています。エディー・ジョーンズという卓越したヘッドコーチの指導を受けて、質も量も世界一と指摘される猛練習が、日本代表選手達の潜在能力を引き出したのです。

後期の始めにあたって皆さんに求めたいことは<ひたむきな努力>です。私自身も問いかけられる思いでいます。ノーベル賞を受賞した大村先生の偉大な業績や、ラグビー日本代表チームの凄まじい努力は、レベルが違い過ぎると感じられるかもしれませんが、そこから学べることは、私にとっても皆さんにとっても大きく深いものがあると思われます。
まずは自分のいまの目的や目標は何かをしっかりと自覚し直すことではないでしょうか。そして日々の生活を、過ぎていく時間を自分なりにコントロールすること。有意義な毎日を築いていくことが大事だと思うものです。
高校生・中学生である皆さんにとって、まずは勉学の課題があります。ひたむきな努力を続けてもらいたいと念じています。毎日の暮らしで無駄にしている時間はどのくらいあるかを反省してみましょう。特にスマホやパソコンなどに向き合う時間もコントロールして、勉強や読書に向ける時間を増やしてほしいと思います。

最後に、登下校マナーのことについてふれておきます。毎朝、生活指導の先生方が登校指導で駅から学校までのポイントに立たれています。近隣の方々との接点も多くて苦労しておられます。終業式の日に、生活指導主任の福田先生が、直接来園された近隣のある方から厳しい指摘を受けられました。毎朝、道をふさぐように歩いている学園生の状況が一向に改善されていない、自転車のベルを鳴らしてもよけない、すみませんの一言もない、指導を更に強化してほしい、といったお叱りのお言葉でした。これは他人事ではありません。皆さん自身の問題です。先生方が立っている立っていないにかかわらず自発的に右側通行をする。道いっぱいに広がらない。このことを改めて皆さんに強く求めます。とても大事な問題であり、学校のレベルが問われる事柄です。
関連してここでぜひ紹介したいことがあります。高校野球部員の皆さんが、夏休みからずっと、週何回も通学路のゴミ拾いを続けてくれていることを知っていますか。朝練習の日程と絡めて、日々交替で自主的に続けてくれているのです。
学園では、この数年間でずいぶん挨拶の習慣が全校的に定着してきたと思います。それをリードしてくれたのは、いくつもの運動部の皆さんの心がけだった私は理解しています。特に高校野球部の皆さんの挨拶ぶりやこうした奉仕の取り組みには、心からの敬意を抱いています。全校の皆さんも見習ってほしいことです。登下校のマナーについては、この後期にぜひ目に見える前進を図っていけたらと思います。皆さんの理解と協力をお願いいたします。
では皆さん、健康と安全に気をつけ、元気で後期の毎日を過ごしていきましょう。強い意志で勉強第一の生活を心がけ、世の中の動きにも目を配りながら、一日一日を大切に、自分のこれからにつながる努力を重ねていきましょう。
・・・・・・以上で私の話を終わります。ご静聴どうもありがとうございました。