第1188回  “絵本の里”の試み~地域おこしの力に学ぶ ②

2015年10月22日

昨日からのつづきです。町では絵本作家を招聘して提携を図り、町の光景に取材した素適な絵本が次々と出版され、話題になりました。絵本にちなむイベントが設けられたり、文学賞が設けられたりして、剣淵町は次第に「絵本の町」として知名度をあげていきました。子供達が絵本に親しみ、大人達も読み聞かせを楽しむようになりました。

飲み屋にまでお気に入りの絵本を持ち寄って語り合い、腕比べをする大人達の姿も放映されて、実に新鮮な光景でした。小学6年生のお嬢さんが母親の助言も受けながら、保育園児への読み聞かせに挑戦する様子も感動的でした。絵本を愛する心は世代を超えて受け継がれているのです。
絵本さながらの美しい町や、大地と共に生きる住民の人達の様子がじんわりと心にしみるドキュメンタリーでした。

番組レギュラーの旅人・山田敦子さんは、子供達の人なつこさと礼儀正しさ、すぐ助けてくれ挨拶してくれる様子への感激を記していました。

早坂剣淵町長は、福祉や農業との関わりも広げて、絵本の持つ「温もりと優しさ」にふれた住民の皆さんが、思いやりのある豊かな心を育み合える町にしていきたいと記されていました。

 

「絵本の館」では全国への貸し出しも行い、絵本原画展・絵本づくり・親子教室など様々な活動のほか、「絵本の里大賞」も設けています。前年度に全国で出版された絵本を展示して投票により選出するそうです。全国に向かって文化の発信拠点になっていくとの志も素晴らしことだと思われました。

人口の長期的減少と高齢化、地場産業をめぐる厳しい市場の動向など、特に過疎化の進む全国の地域をめぐる情勢が心配されます。剣淵町の取り組みは、産業と文化をつないでふるさとの誇りを回復し、住民のつながりとパワーを再び育んでいく貴重な1つのチャレンジであると思われました。

インターネットの利便も生かして、全国の地域からの発信が旺盛に展開されている時代でもあります。在校生や卒業生の皆さんには、そうした動向にも目を向けて、グローバル時代の日本の将来について関心を深め、どこかの場面で参画していってもらいたいです。

 

※ 写真は、中高図書室の先月の様子から撮ったものです。図書室ではいつでも、様々なテーマ別フェアの特集が組まれたり、図書委員達のアイデアや推薦も取り入れて、魅力ある書籍や掘り出し物の新刊書などが展示、プレゼンされています。