第510回 昨日の中高全校朝礼について

2012年9月1日

昨日から本格的な学校生活が再開しました。
1校時の全校朝礼は、中1~高3まで6学年の千百人以上の在校生諸君がひさしぶりに集合する大切な時間です。校長の話に続いて、福田・生活指導主任から話がありました。学校の早めの再開に沿った登下校のマナー順守への注意があり、夏休み中から始まり試験後に本格化する学園祭の準備について、貴重品管理や器物破損注意、また今日からの清掃の徹底が促されました。クラブ関係の表彰も多数に及びました。
その後、各クラスのHRや身なり検査などがあり、3校時から通常授業に入りました。高校3年では学年集会が行われ、大学入試センター試験と出願準備、推薦入試など今後の重要事項について連絡や説明がありました。

【部活関係:全校表彰】 多数のクラブで、様々な成果をあげていました。
これまで通り、各部員諸君の活躍ぶりを紹介します。
バスケットボール部
 高校女子 神奈川県私学大会・Bブロック 優勝
サッカー部
 高校 神奈川県ユース(U-18)フットサル大会 第3位
吹奏楽部
 湘南吹奏楽コンクール 中学Bの部・金賞
            高校Bの部・銀賞
書道部
 第36回学芸書道全国展 硯心会理事長賞 中3森山もな美
 第47回高野山競書大会 団体奨励賞
  審査委員長賞 高3大脇ひとみ、高2高橋真穂、中2渡部黎
  南山賞 高3岩﨑真奈美、高1松原玲奈、中3森山もな美
  協会賞 高1小林玲那、中2那須野莉子
剣道部
  藤沢市民総合体育大会 中1女子・第3位 中1沖津舞
陸上部
  藤沢市陸上選手権大会 中1男子走り幅跳・2位 中1磯部将豪
   中2男子100m・優勝 中2松本凜太郎
   中3年男子100m・2位、中3男子200m・3位 中3植草良友
   中学女子100mH・3位 中3峯尾海帆
   中学男子4×100mリレー・2位 中3片桐・植草・宮本・中2松本
  神奈川県私立中学校陸上競技大会
   女子1年100m・2位 中1井上琴満
   男子共通200m・3位 中3植草良友
   女子共通100mH・3位 中3峯尾海帆
   男子共通4×100mリレー・3位 中3片桐・植草・宮本・中2松本
水泳部
  藤沢市中学校水泳競技大会 男子総合第3位、男女総合第3位
   男子400mメドレーリレー・3位 黒岩・藤野哲・鈴木・藤野晃
  中2黒岩丈 藤沢市中学校水泳競技大会 男子100m背泳ぎ・第2位 
                      男子200m背泳ぎ・優勝
     湘南ブロック中学校水泳競技大会 男子200m背泳ぎ・優勝
  中2藤野哲弥 藤沢市大会    男子200m平泳ぎ・第3位
         湘南ブロック大会 男子200m平泳ぎ・第3位
  中2笹原優希 藤沢市大会    女子200m自由形・第2位
         湘南ブロック大会 女子200m自由形・優勝
ハンドボール部
  高3石津貴士 神奈川県選抜チームのゴールキーパーとして、8月の第67
        回国体の関東大会に出場し、勝ち上がって更に10月の全国
        国体へも出場します。その栄誉を讃え、全校生徒から祝福、
        激励しました。

【校長からの話】 朝礼での話をこれまで同様に掲載いたします。
皆さん、おはようございます。
今日から、学校生活が再び始まります。今年度はカレンダーの都合上、学園祭や期末試験の日程を決めるのに制約が多く、授業の日数を確保する必要もあって、8月の最後にあたる、今日からの始業としました。
厳しい残暑がまだ日本列島をおおっています。でもいずれは、秋が必ずやってきます。夏の疲れやだるさも残っていると思いますが、どうかここで気持ちをしっかり切り替えて、早めに登下校のリズムを回復し、元気で生活して欲しいと思います。

この夏休みは、四年に一度のオリンピックに沸きました。ロンドン大会は金メダルこそ少なめでしたが、日本人選手の活躍が新しい競技にも広がり、メダルの合計数は過去最多となりました。東京の銀座で行われた祝賀パレードには、何と50万人もの人たちが集まりました。日本でも世界でも暗いニュースや心配なニュースが絶えない中で、久しぶりに明るい話題となりました。みんながこうした嬉しい知らせを待ちわびていたとも思えました。
特に団体競技での日本人選手の活躍は印象的でした。男子では体操の団体、水泳の400mメドレーリレー、フェンシング団体、女子ではアーチェリーの団体、水泳400mメドレーリレー、バドミントンのダブルス、そして卓球団体、サッカー、バレーボールとメダル獲得の素晴らしい活躍がたくさんありました。
男子の競泳では、個人でメダルを逃したリーダーの北島康介選手に後輩の選手達が、先輩には絶対最後のチャンスでメダルを獲得してもらって日本へ帰ろう、と誓ったとの言葉に惹かれました。女子の卓球では、個人でメダルが惜しかった福原愛選手と石川佳純選手が中心でしたが、もう一人の平野早矢香選手の振る舞いが心に残りました。苦しい場面に追い詰められても、先輩として笑顔でチームの団結と元気をリードし、逆転勝利も支える姿に心を打たれました。
チームみんなの結束が堅いと、持てる実力を精いっぱい出し切れるのだということに感動し、強く学ぶ気持ちでテレビを観ていました。

日頃からクラブ活動で頑張っている皆さんは、オリンピックのドラマから、特に大きな勇気と感動をもらったことでしょう。部活動だけでなく、学校行事や大学受験でも、実は共通する大事なことがあると思います。それは「団体戦のパワーはすごい!」ということです。日本人はチームを組んで気持ちを揃えて取り組む意欲に優れているとよく指摘されます。オリンピックでも、そうした日本人の資質が十分に表現されていたように思えます。
そうした経験、チームで取り組む楽しさや達成感を、皆さんはこの学園生活でたくさん経験して欲しいと思います。そして中高6年間の最後に待つのは、それぞれの進路選択です。ともに励まし合って団体戦で受験に挑む課題が待っています。この締め括りでも、クラスや学年のチーム力を発揮して欲しいと願っています。

夏のニュースでとても気になった報道の中に、日本とお隣の韓国・中国の間の領土問題があります。竹島や尖閣諸島といった小さな島々をめぐり過激な行動や発言があり、これまで以上に政府間の緊張が目立っています。 多数の国民が旅行やビジネスで往来しているし、経済のつながりは広く深く発展しています。歴史的にも文化的にも深い相互の関係があります。それなのに、この先のことが懸念されるほどの激しいやりとりがあって、皆さんの間にも不快で心配な気持ちがあることと思います。
高校生・中学生の皆さんに考えてほしいことは、これから日本の目指すべき方向です。日本は国際社会においてどんな独自の役割や使命があるかのを、自分なりに考えてみて頂きたいです。
日本はグローバル化の進む世界で、かつての地位や勢いを失い、国際的な競争力も下がってきているとよく指摘されます。国内では少子高齢化や過疎化が進み、景気や雇用が厳しくなり、孤独な人や心を病む人が増加しています。
しかし日本には、素晴らしい自然や食材、優れた文化や技術が豊かにあります。「勤勉で粘り強い」「礼儀正しく協調性に優れる」日本人の評価には定評があります。

今から67年前の日本は、第二次世界大戦で敗れ、全国は戦争の深い傷跡におおわれていました。その後復興した日本の発展の足跡は、多くの開発途上国のあこがれでした。日本は、原爆の投下や数々の公害も経験して、その分平和の大切さや環境の大切さを深く理解する特別な国として尊敬を集めてきました。
そして東日本大震災をくぐった日本は、これからどのように社会を再建していくのか、という点でも再び国際的に注目されています。
日本は、いま初心に帰って日本にしか果たせない役割を使命を自覚するべきだと思います。その中で特にアジアの近隣諸国とも平和で安定した関係を再構築していく課題があります。生徒の皆さんには、アジアや世界の様々な事実や動きに目を向け、若い世代どうしの交流の機会にも積極的に参加していって欲しいと思います。

さて東日本大震災の後に、ヨーロッパで書かれたある本が再び熱心に、被災地を始め多くの日本人に読まれていることを知りました。その本の作家は、死と隣り合わせの極限状況、第二次大戦中の強制収容所の地獄から奇跡的に生き延びた男性です。
ユダヤ人の精神科医であるフランクルの書いた『夜と霧』というベストセラーです。フランクルが、人生において最も大切なことは何かを述べた言葉を少し紹介します。
フランクルは、複雑な現代社会で私たちは人生のあり方に悩みやすく、疲れやすくなっている。しかし自分らしく自分の個性を生かせる人生を追い求めても、欲望中心の人生には際限がなく、欲求不満の状態が続くだけだと指摘します。そしてフランクルは、「どんな人間にも唯一無二の価値があり、それぞれの人生から問いかけられている存在なのだ」と提起します。どんな人間にもその人を必要とする何かがこの世界にあり、誰かがこの世の中に待っている。その何かや誰かに目を向けてみようと呼びかけます。
そして「自分の人生に届けられてくる意味と使命」を発見し、実現していけるように日々を懸命に生きていく中でこそ、幸福や自己実現の手応えがおのずと生じてくるのだと説いています。それぞれの「人生からの呼びかけ」に応えていく「意味と使命中心の生き方」へと転換していこうというのです。

少し難しい話ですが、現代に生きる我々に人生の深い羅針盤を届けてくれていると私は感じます。先行き不安なこの社会でどう生きていくのか、希望や知恵を示された思いでいます。人生はいつもさまざまな状況や困難に直面します。しかしその都度「人生から問われていること」に懸命に応えていくことで、道は拓けていけるのです。
毎日の生活は慌ただしく、時間はどんどん流れていきます。でも時々改めて立ち止まって考えてみましょう。たった1回限りの人生をどう受けとめてどんな姿勢で生きていくべきか。また日本はどんな自覚を持ち、どんな進路を選んで努力を重ねていくべきなのかを。私もそんな問いかけを忘れずに暮らしていきたいと思います。

さて皆さん。この9月は毎年正念場です。まず前期期末試験が再来週の月曜日からスタートします。この試験のことはここしばらく頭から離れなかったことでしょう。
前期の成績は、特に高3諸君にとっては重要な意味を持ちます。また中3諸君にとっては、高校進学に関わるヤマ場でもあります。気持ちをひきしめ、中間試験の時の反省も確認し、生活をしっかりギアチェンジして、総復習を進めましょう。
そして9月末には、学園祭があります。クラス、文化部、実行委員会などで様々な準備が進められています。今まであまり話せなかったクラスメイトとも交流し、友だちの輪を広げていける学園祭です。大変な作業も皆で協力すれば楽しくなります。いろいろな知恵や工夫を出し合って取り組みましょう。
また9月の後半には、昨年度は出来なかったノックス校の日本ツアーが復活します。学園からのセミナー訪問のリターンで、ノックス校の生徒と先生の皆さんが来日されます。いろんな場面でウェルカムし、カルチャー講座や遠足、ふだんの昼休みや放課後を通じて、思う存分交流や会話を楽しみ、友情の輪を広げましょう。

こうしてこれから大きなイベントが続きます。残暑にまけない体調の維持と気持ちの切り替えが大切です。皆さんそれぞれ、メリハリある充実した生活を過ごしていってください。・・・・・・それでは、以上で私の話を終わります。