第479回 部活動顧問の願い~剣道部より

2012年6月12日

 湘南学園中高には現在、26の運動部と文化部があります。
 各部のプロフィールや実績、活動予定などは、HPのクラブコーナーで紹介しています。「部活動紹介の冊子」も昨年度から制作し、今年度は製本化して広報に役立てています。
 「校長通信」でも時々、各部の成果や活躍、新たな取り組みについて取材や紹介に努めてきました。春から夏にかけては高3部員諸君が部活の一区切りを次々と迎えます。また恒例の校外イベントを実施するクラブもあります。そこで顧問の先生から直接に頂いた情報をもとに、各部のホットな情報や顧問の先生方が大切にする指導や想いを、時々紹介していきたいと思います。

 本日は剣道部です。いつも部員達と熱い稽古の時間を共にし、剣道を通じた人間教育を大事にする木下先生から寄せて頂いた文を紹介します。

 湘南学園剣道部は心と技を磨くことを目標にしています。部員は全国大会につながる重要な大会を含め、年間で多くの試合に出場します。大会以外にも埼玉県・栃木県遠征や多くの練習試合に参加します。
 剣道部では部員のほとんどが有段者になります。中でも高2・3年生のほとんどが剣道三段です。過去の大会成績を振り返ると、中学校では藤沢市剣道大会男子優勝・女子優勝、湘南ブロック剣道大会で男子準優勝・神奈川県大会出場、神奈川県私立中学校剣道大会で男子優勝・女子優勝という結果を残しています。高校では、桜杯剣道大会で女子団体優勝、湘南地区剣道大会で女子準優勝、神奈川県大会女子個人ベスト8という成績でした。
 しかし、剣道でもっとも大切なことは段位を得ることでも大会で勝って有名になることでもありません。「やるべきことに集中すること」です。そして「弱い心を乗り越えること」です。日常の稽古、そして仲間を大切にし剣道ができることを常に感謝する気持ちを持つことです。こうした豊かな心を持つことができる人は剣道を心から楽しんでいます。そしてさらに、剣道がうまくなっていく人は「自分の欠点を謙虚な気持ちで認め、それを日々の稽古の中で改めていこうとする素直な心」を持った人です。
 また剣道は力と技だけでは強くなりません。もっとも大切なのが心の持ち方にあると言えます。正々堂々とした心の強さや気迫、そして自信が相手を上回るときに勝つチャンスが生まれます。駆け引きにおいては相手の考えを読む自分自身の精神の集中、そして落ち着きや余裕が不可欠です。全日本剣道選手権で優勝する選手の年齢が40才に近いことが多いのも、こうした心の戦いが要求されるからです。
 確かに、大会などで勝つことには大きな魅力もあります。しかし、それ以上に部員が互いに信頼し合っており、暖かみのある組織だというところが我が部の自慢です。稽古は主将の藤本匠君の声で始まります。皆が心を一つにして仲間と剣を交える中から「信頼・勇気・自信」をもって欲しいです。そして部員の諸君がやがて卒業したとき、湘南学園剣道部で稽古をしてきたということを人生の誇りとして欲しいというのが顧問の願いです。