第345回 創立78周年を迎える湘南学園

2011年11月14日

 明日の11月15日は、湘南学園の第78回目の創立記念日にあたります。今年度も休校となります。

 1933年(昭和8年)に、湘南学園は誕生しました。当時は世界大恐慌の影響が国際社会を直撃し、深刻な不景気や失業、倒産が各国に広がりました。ドイツではナチス政権が登場し、アメリカでは「ニューディール」が開始されます。二年前に満州事変を起こしていた日本は、この年に国際連盟を脱退しました。時代は次の世界大戦へと向かっていたのです。

 この地域在住の住民や有識者の方々が、わが子ども達のためにと、軍国主義の風潮に抗って湘南学園を建学されました。まず小学校と幼稚園が設立され、大戦後には中学校と高等学校が設立されて、総合学園となりました。その後の年月を経て、中高の一貫教育の体制が確立されてからは、もう十数年が経過しています。
 そしてきたる創立80周年へ向けて、全学の記念事業を具体化する「チーム湘南学園」の協議が始められ、「創立80周年記念事業・実行委員会」がすでに始動しています。

 湘南学園の建学の精神は、第四代学園長の大久保満彦先生が明確に表現され、その後本校理念を表現するテーゼとなりました。
個性豊かに、身体健全、気品高く、明朗で実力があり、
社会の進歩に貢献できる、有為な人間の育成
 第八代学園長の藤岡貞彦先生は、この建学の精神を踏まえて、更に21世紀のグローバル時代を踏まえた中高教育の課題について、
世界に通じる、良識ある市民の育成
という視点を提唱されました。

 特に本校の総合学習=特別教育活動は、建学の精神に沿って20年以上追究してきた独自の取り組みです。世界を見渡すと国際的な課題が山積しています。経済ではむき出しのグローバル競争の規制が難しく、人間の生命や生物多様性そして地球環境がいたるところで深い危機に直面しています。諸民族の相互理解と尊重や友好交流は、ジグザグを繰り返しつつも高い段階へ前進していると信じたいものです。日本の社会でも数々の困難をかかえつつ、東日本大震災の体験も経て、様々な人びとの努力や模索が続けられています。

 生徒諸君には、中高6年間のステージで、地道に学習に取り組むとともに、豊かな体験や交流を重ねて、元気で大学生~社会人へと歩み出て、それぞれの確固とした幸福を築いて欲しいと願うものです。
 湘南学園の建学の精神は、今日の日本と国際社会の状況に照らして、ますます的確に、普遍的な光を発していると考えています。このメッセージを我々が日々の教育実践と結びついて深め、共有していくことは、湘南学園のスクールアイデンティティを確立していく上で欠かせないことだと認識しています。