第597回 今秋に創立80周年を迎える湘南学園

2013年1月10日

 本日は、おとといの全校朝礼で校長からお話した内容を紹介いたします。
 湘南学園は、この秋に創立80周年の節目を迎えます。
 年頭にあたって、本校の建学の精神や来月着工する80周年記念館・カフェテリアの意義についてまずお話をし、2月の国際交流のイベントや登下校マナーなどについてもふれました。ご参考にして頂けたらと思います。
 
 
【校長の話】

皆さん、おはようございます。冬休みは、楽しいことがいろいろありましたか。
気持ちをきちんと切り替えて、新年の学校生活をスタートしたいものです。
この2013年を、充実した素晴らしい一年にしていきましょう。

さて湘南学園は今年、創立80周年を迎えます。どんな時代にどんな願いを持ってこの学校ができたのか、皆さんは知っていますか。
湘南学園が誕生したのは1933年、昭和8年のことです。すでに満州事変を起こしていた日本は、その年に当時の国際連盟を脱退しました。ヨーロッパではドイツにヒトラーを首相とするナチス政権が誕生しました。あとから振り返れば、世界が二度目の世界大戦に向かっていく時代でした。
そうした時代の中で、軍国主義の風潮を心配して、もっと子どもの個性や生活を大切に、自由で伸び伸びとした教育をしたいとの願いから、この藤沢鵠沼の地に小さな私立学校が誕生しました。それがこの湘南学園のルーツです。
それから80年間、いろいろなことがありましたが、その時々の在校生と教職員、保護者の方々の熱意と努力によって湘南学園は支えられ、発展してきました。その中で湘南学園の建学の精神は、次のように表現され、受け継がれてきました。「個性豊かに、身体健全、気品高く、社会の進歩に貢献できる、明朗で実力ある人間の育成」というのが、本校の建学の精神であり、教育の目標です。

皆さんは、中学高校の6年間をこの湘南学園で過ごします。十分な学力を身につけて、それぞれが選んだ大学へ進学することは共通の目標です。同時にクラス学年や縦割りの学校行事や部活動を通じて友達を広げ、力を合わせて挑戦する体験を重ねること、社会に生きる人々に出会って直接にいろいろ学び、視野と問題意識を広げることも本校では特に大事にしています。将来の人生につながる中高6年間であってほしいと思います。現代の日本には様々な困難や課題がありますが、「個性豊かな」「明朗で実力ある人間」になり、自分にふさわしい人生の拠点とたしかな絆をつかみ、それぞれが揺るぎない「幸せ」を築いてほしいと願っています。湘南学園はそうした皆さんの成長を支えられる私学でありたいです。未来への展望を深められる創立80周年の節目にしていきたいと思います。

皆さん、クラスエリアの向こう側がもうさら地になっていることを知っていますか。2月初めの中学入試が終わってから、そこにいよいよ80周年記念館が着工されます。完成引き渡しは9月の予定です。この新しい施設の中心はカフェテリアです。これまでもリトルストアでおにぎりや日替わり弁当や調理パンを購入できました。加えてこの食堂では温かく美味しいランチを食べることが出来ます。すでに皆さんや保護者の方々にもアンケートの協力をしてもらいましたが、麺類系・カレーライス系・定食系ですてきなメニューを用意する予定です。夕方など昼休み以外の時間帯も出来るだけ利用を図れる場所にしたいと考えています。単に食べるだけでなく、在校生の皆さんがくつろげるスペース、友達とおしゃべりして憩える貴重な場所が新たに出来ることにポイントがあります。

他の私立学校では外部業者に委託する運営の方法が普通ですが、湘南学園のカフェテリアは「自校運営方式」を目指し、専門のNPO法人を起ち上げるという新しい検討と準備をしています。
それは第一に皆さんの健康と成長を考え、「食育」の観点を大切にして、食材にもこだわりを持ち、値段も出来るだけ安く抑える工夫を追求したいからです。
藤沢を始めこの湘南地域には、食料生産や農業に携わる人びともおおぜいいます。その方々との協力も図り、新鮮で安全な食材を求め、無駄なコストをなるべく減らし、「地産地消」の観点も大事にしたい。調理の風景も見え、スタッフの方々との会話も図れる食堂にしたいと考えています。
家庭科の授業や、PTA・説明会や国際セミナーのイベント、更に学園祭や部活関係、卒業生のイベントでも活用を広げたいと考えています。
記念館には、湘南学園の卒業生が気軽に集まれる交流コーナーのスペースも確保します。来週の成人の日には、今年も20歳を迎えた先輩達が晴れ着姿でおおぜい集まります。今まではホールとラウンジしかなく申し訳ない思いをしてきました。こんな機会には本校の記念館でまずゆっくりくつろいでもらえたらと思います。皆さんが将来大人になってからも気軽に利用できるスペースになるよう願っています。

さて、次のお知らせとお願いに移ります。すでに通知の文書を出しましたが、来月の中旬に、約一週間、湘南学園に日本語を専攻する中国人大学生の人たちをお招きします。藤沢市と姉妹都市にあたる、雲南省昆明市の大学生8名と引率の先生おひとりです。ご一行9名のうち男性は2名、女性は7名です。日本が大好きで日本語を猛勉強している皆さんです。海外旅行は始めてで、期待いっぱいに初来日されます。今回の来日は、湘南学園の同窓会の方々から多額のご寄付を頂いて実現に向かうことが出来ました。在校生保護者の方々、ライオンズクラブや中国関連企業、藤沢市の国際課や観光協会などのご協力も頂いています。
皆さんも知っている通り、昨年の夏から尖閣諸島問題が起きて、日本と中国の関係は悪化しました。中国各地で反日デモや暴動が起き、不買運動がありました。また日中国交回復40周年を記念する様々なイベントが中止になりました。
それでもビジネスや学術の世界では、両国の間に深いつながりが広がっています。日本の大企業も中小企業も対中国の数多くの取引があり、メーカーも様々な小売業も中国への進出を止めることは出来ません。日本の大学では英語に続く第2外国語で履修者が一番増えたのは中国語です。日本の将来にとって、中国や韓国など東アジア諸国との関係はやはり基本的でとても大切なものです。

皆さんに大事にして欲しいのは、人間と人間の直接の交流です。海や国境を越えても大事な原則は同じです。湘南学園はこれまでカナダ・韓国・オーストラリアへの海外セミナーツアーを行ってきました。この3月からはイングランドセミナーも加わります。メルボルンのノックス校とは相互の訪問も定着し、来月には高2と高1の在校生2人が2か月間の留学生活に挑戦します。
どのプログラムでも、現地の同世代の若者との直接交流を大事に考えています。言葉や文化は違っていても英語を基本にコミュニケーションをとれる楽しさを体験し、同世代として解り合える感動に出会うのです。
今回のイベントも、基本精神は同じです。長い日本の歴史を振り返ると、最も深い文化的影響を届けてくれたのは中国です。漢字も食文化も年中行事も、日本はまず中国文化の影響を受け、それを日本の風土の中で独自にアレンジし洗練させてきたともいえるでしょう。
現在の中国の政府や政治に対しては、不信感や嫌悪感を持つ人たちも少なくないことでしょう。しかしその社会に生きる中国の若者たちも悩みながら生活し、将来の方向を懸命に探っています。同じ時代に生きる若い世代の出会いを大切に、コミュニケーションを図ってみてほしいです。
学園では通常の日本語の授業に参加してもらい、ノックス校の皆さん同様に江ノ島や鎌倉、東京方面への観光も楽しんでもらいます。彼ら彼女たちは日本語も英語もスキルはすごく高いはずです。年齢では皆さんより少し先輩にあたりますが、ひたむきに勉学に取り組み、物事を考えている姿から様々なことを学べることでしょう。出来る心くばりやもてなしに努めてもらいたいです。よろしくお願いします。

最後にふたつ、お願いと連絡があります。まず毎日の登下校のことです。文書でもお伝えしたように、小田急線の鵠沼海岸駅の混雑解消の問題がとても切実な状況になっています。駅周辺の構造的なリニューアルがまだ先の中で、この地域最大の利用者である私達には社会的な責任があることを自覚しましょう。新しい分譲住宅が最近も増えている光景を目にしていると思います。鵠沼海岸駅の乗降客数は年々増えています。通学路を他に広げることに難しさがある中、皆さんに心がけてほしいことをもう一度述べます。
まず駅の交番から踏み切りまでのあの狭い道は、必ず一人ずつで、友達と横に並ばずに通行することです。特に雨の日は傘を指すので対向する歩行者に注意をお願いします。そして学校までの一回曲がるだけの長い通学路では、友達となるべく2列までの並びにとどめて、右側通行を意識して登下校して下さい。グループの人数が多い場合、また自転車の人がいたりするとつい道路いっぱいになっていることがあるものです。この地域で生活される高齢者やクルマ利用の方々が迷惑をされている状況についてもっと自覚して頂きたいです。全体で改善を図るべくどうかよろしくお願いします。

最後は、あと16日後に控えている合唱コンクールについてです。学園の新年は、毎年「燃える合唱コン」から始まります!合唱コンクールは、この一年間様々な体験や苦楽を共にしてきたクラスメイトと力を合わせて取り組める、大切な締めくくりのイベントです。はやりのノロウイルスやインフルエンザ、風邪に気をつけて、クラス全員で健康を保って本番に臨んでほしいです。もう先月から練習を始めているクラスも少なくないようで期待しています。今年は練習場所に新しい小学校新校舎の音楽ホールが加わっていますので、注目して下さい。24日木曜日まで一日一日が勝負になります。みんなで練習できる時間を工夫して確保し、リーダーの指示に皆の心を揃えて、素晴らしい練習と本番を実現しましょう。皆が選んだこだわりの歌で最高のコーラスを響かせてください。
それでは以上です。皆さんご静聴ありがとうございました。