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第17回 昆虫をめぐる不思議な神秘の世界①

2018年6月2日

 小学校6年生の途中まで信州で育ち、私は昆虫の大好きな少年でした。今日は、ムシ達に関わる話題をとりあげます。
 

 母校の近くに林があり、夏にはよくクワガタやカナブンなどを捕りました。市民会館の裏の大きな池では、タガメやゲンゴロウなどいろいろな水中生き物を追いかけました。

 家へ持ち帰ったヤゴ達はやがてトンボになり、用意した割り箸を伝わって部屋の天井に登場しました。朝の楽しみでした。

 オタマジャクシが地域のあちこちの水場にあふれ、カエルのにぎやかな大合唱が日常でした。雨がふるとアメンボもいっぱい出てきました。

 近所のあちこちで奏でられる、スイッチョ(ウマオイムシ)とエンマコオロギの鳴き声も大好きでした。秋の夜長にかけて楽しみを加えてくれました。

 ある時期住んだ家の前に、広い養蚕場がありました。お蚕(カイコ)達が大量の桑の葉を、モゾモゾモゾモゾとたくましく食べていくあの光景!
 緑と白の織り成す場面は壮観で、お蚕達の食べ進む時の通奏低音が記憶に残ります。まゆになって生糸を届けてくれる“天から賜った特別な虫”なのです。

 そして盛夏の主役は、何といってもセミ達の圧倒的な大サウンドでした。
 信州中部の地域ではアブラゼミとミンミンゼミが中心でした。時々ヒグラシやエゾゼミなどもいて、鳴き声のバリエーションを楽しんでいました。
 

 セミの一生は独自のスタイルを持ちます。幼虫は土の中にもぐりこんで長い地下生活を続けます。そして地上に出てきてひそかに羽化を行い、成虫となります。周りは天敵だらけの環境のなか、再び樹液を吸って生きていきます。

 セミの地上生活は限られた短い時間です。雄のセミは雌のセミに全力で求愛行動をします。セミの大合唱は確実に子孫を残すための呼びかけであり、交尾と産卵を経てセミは生涯を閉じます。
 

 このセミの生態をめぐって、近年注目すべき研究成果が発表されました。新聞やテレビの報道で取り上げられ、生き物をめぐる奥深い神秘のしくみに私も強い関心を持ちました。次回の通信で紹介したいと思います。