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第25回 広上淳一先生 来週の日フィル定期演奏会に注目!

2018年6月30日

 この秋に、創立85周年を迎える湘南学園。その卒業生の中には、クラシック音楽の分野で国際的に活躍されている方々がおられます。
 そのお一人が、指揮者の広上淳一先生です。来週の演奏会のご案内とともに、今回はマエストロ・広上先生について紹介させていただきます。
 

 広上淳一先生は、日本の音楽クラシック界を牽引する指揮者のお一人です。湘南学園の卒業生であり、若くして国際的な青年指揮者コンクールで優勝され、日本はもちろん欧米のきわめて多数のオーケストラを歴任してこられました。現在は東京音楽大学教授、京都市立芸術大学客員教授も務められ、東西奔走の毎日を過ごしておられます。

 広上先生には、御多忙ななか、これまで湘南学園の歴代の周年記念行事でもご尽力を重ねて戴きました。第九、幻想、1812年、更には在校生のピアノとコラボでショパンの協奏曲などを演奏して戴いております。
 

 数年前に観た、「マエストロの白熱教室~指揮者・広上淳一の音楽道場~」という番組が鮮烈でした。東京音楽大学における指揮者養成の指導がテーマで、学生が実際にオーケストラを指揮する合同レッスンで、先生は容赦のない厳しいコメントを浴びせ、時には指揮中の手や体の動きを直接に矯正されました。曲の世界への理解も愛も足らない、それでは楽団員から共感を引き出せない、ヤマ場も動作が一本調子だ、などの激しい叱責や問いかけ。“ズタボロ”になりながら、学生は卒業試験の実演へ向けて再びスコアやピアノに向き合い、模索を重ねました。そして最後にその青年の努力を、広上先生は先輩達とともにねぎらい、今後の目標を示唆されました。

 多数の楽器専門家の集まるオーケストラをまとめ、独自性あふれる音楽を創り上げる上で、指揮者には何よりも豊かな人間力や表現力が求められます。
 番組の様子は「人間力を鍛える道場」そのものでした。技術的な事よりも、指揮者・音楽家としていまどんな境涯にあるのか、自分をどう高めていくのかを自覚させる厳しい人間修行の場でした。答は各自が見出すほかないのです。
 広上先生の指揮される姿は、ダイナミックな躍動感や生命力あふれるエネルギーの表出に圧倒されます。「類いまれな俊敏さ、劇的な表現力や瞬発力」、「一見コミカルにも見える独創的なスタイルから、細部まで引き締まった天才的な響きが生まれる」といった評価を目にすることがありました。
 

 来週の7月6日(金)7日(土)に、日本フィルハーモニー交響楽団の第702回定期演奏会が、サントリーホールで開かれます。
 広上先生がバッハの名曲を演奏され、さらに広上先生の音楽上の師である、尾高惇忠先生の交響曲を取り上げられます。この曲は2011月9月に世界初演されて注目を集めた曲で、実は尾高惇忠先生は湘南学園中学・高校の卒業生です。東京芸術大学名誉教授などを務められ、湘南学園の「創立80周年記念音楽祭」では、多彩な音楽プログラムをプロデュースして下さいました。
 弟の尾高忠明先生も、湘南学園中学の卒業生でおられ、世界的な大指揮者として活躍されています。

 今回のコンサートは、湘南学園の歴史とも直接につながる貴重なプログラムになっています。湘南学園に関係される広範な皆様方にも、ご都合がつきましたらぜひ鑑賞にお越し下さるよう、ご案内申し上げます。
 

 広上先生がご指導される東京音楽大学にはこの春にも卒業生が進学しています。どんな音楽修行をしているのかたずねてみたいです。

 広上先生のますますのご活躍をお祈りするとともに、先生が渾身の寄り添いで示されていた、本物の専門家の養成を目指す人間指導のあり方からも学んでいきたいと思います。