A Random Image

第30回 一番大好きな小学生コーラスの名曲

2018年7月18日

 録画を観るたび、いつも感動を新たにする合唱の名曲を、今日は取り上げます。小学生向けの課題曲として登場した、「ゆうき」という合唱曲です。
 

 2014年、第81回NHK全国学校音楽コンクールの、小学校の部の課題曲でした。その年の共通テーマ「勇気」を受けて創られた1曲で、初めて聴いてひきこまれ、聴くたびに子どもを見る原点を学ぶ思いになりました。

こどもは ひとりひとり
こころに ひとつぶ
ゆうきをもって うまれてくる・・・・・・

 歌の始まりです。歌の根底には、すべての子どものいのちと成長への、愛情と確信があります。

ちいさな げんこつを にぎりしめ
ちいさなあしで ちゅうをけり
ちからいっぱい こえをあげ
ゆうきといっしょに おおきくそだつ・・・・・・

 親しみやすいメロディーとシンプルで力強い歌詞。ワンフレーズずつ大事に紡ぎながら歌えることでしょう。聴く人にも静かに共感が広がり、子どもの生命の愛おしさや成長への希望を心に刻むのです。
 

 作詞の中川李枝子さんは、『ぐりとぐら』など数多くの名作を世に送り出し、子ども達が大好きな『となりのトトロ』の『さんぽ』の歌も作詞しました。
 17年間保育士として多くの子ども達に接した経験から、どんな子にも勇気や強さがあり、家族や友達が困った時にもその勇気が発揮される姿を見てきたと話されます。
 どの子もかけがえのない存在だから、生まれたての赤ちゃんをイメージして、長く歌い継がれる子ども賛歌を贈りたい、と着手されたそうです。

 作曲の村松崇継氏は、ジブリの『思い出のマーニー』なども担当された若手音楽家です。小学生が元気をもらって明日はまた頑張ろうと勇気が出るように、この歌を届けたい歌ってほしいと語っていました。
 そして当時、人気子役で有名だった芦田愛菜さんが、この曲のキャンペーンで活躍しました。可愛い振り付けをまじえてソロで歌う姿は、Nコン全国大会でも映えていました。
 

 Nコンのファンのひとりとして、この合唱曲はナンバーワンです。
 日本語のひらがなの力を、シンプルに温かく、深く感じさせてくれる歌です。
 子どもを見る眼、教育の責任について、襟を正される思いにもなります。
 子ども達は、この歌を唄うことで、自分の生命力を感じられるように後押しされ、自分のことを肯定的に受けとめられるのではないか、と期待します。
 

 生活を、または人生を前へ一歩踏み出したい時に、大人にとっても「勇気」はとっても大切なものです。そして歌うことで気持ちがすっきりしたり、勇気がわいてくることは間違いなくあることです。

 子どもが大切にされない様々な事件や状況が、心を曇らせるばかりの世相があります。音楽の力を借りて、大切な原点を感動とともに体感できる機会になればいいなと思われます。

 「課題曲ゆうき」などと検索して、合唱の動画をご覧になってくだされば幸いです。じっくりかみしめながらお聴きになってみてください。