新たな船出:湘南学園が紡ぐ、未来への「ポート」
2025年7月9日水曜日、午後4時。湘南学園小学校のメディアルームに、各パートから企画委員、主任が集まりました。この日、第一回目となる「湘南学園ポート」――学園全体の未来を展望する「全学企画委員会」が、いよいよ幕を開けたのです。
この「湘南学園ポート」は、単なる会議ではありません。それは、湘南学園が幼稚園、小学校、中学校・高等学校がユネスコスクールに加盟し、全国でも類を見ない「総合学園」として新たなステージへと進む、その揺るぎない決意を示す羅針盤となります。持続可能な学園を目指し、山積する課題に真摯に向き合うための、まさに「港」としての役割を担う場。そのため、この日を迎えるまでに、各パート(幼稚園、小学校、中学校・高等学校、事務局)の代表者が実に3回もの綿密な事前打ち合わせを重ねてきました。初めての試みゆえに、主催者側には少なからぬ不安がありました。「果たして、パートや立場、職種の壁を越えて、真に深い議論ができるだろうか?」その期待と不安が入り混じる中、話し合いを始めました。
しかし、ふたを開けてみれば、その不安は杞憂に終わりました。
壁を越え、心を解き放つ熱い議論
最初は手探りだった参加者たちの表情が、議論が深まるにつれて、みるみるうちに熱を帯びていきました。互いの熱意に触発されるように、活発な意見交換が繰り広げられたのです。「湘南学園の魅力」というテーマのもと、現在の学園が持つ輝きと、そこから見えてくる「課題」について、それぞれの立場から熱い「思い」が吐露されていきました。そして、「今、私たちにできることは何か?」という問いに対し、全員が真剣な眼差しで、未来への具体的な一歩を探し始めました。
話し合いは、「自由な校風」「個性尊重」「人間性を育てる」――湘南学園が長年培ってきた揺るぎない建学の精神が語られる一方で、「学習面の成果と課題」「入試」「保護者とのかかわり」といった、日々の教育活動における現実的な課題にも深く切り込みました。建学の精神の現代における捉え方や、総合学園としての理想的な交流のあり方についても、従来の枠にとらわれない、新たな視点が次々と提示され、参加者全員にとって、かけがえのない刺激と学びの場となりました。
「個性豊か」の真髄と、私学の可能性が広がる地平
特に、湘南学園の建学の精神の冒頭に掲げられている「個性豊か」という言葉に、深い議論が交わされました。かつて他校の教職員から「個性豊か、と前面に出しているのは本当にすごいことですね」と称賛されたこの言葉が、実は現在の教育活動を進めていく上での難しさにもなっているという、率直で建設的な意見が共有されたのです。これは、多様な個性を認め合い、活かすことの奥深さと、その理念を実践する私学独自の制度設計が抱える複雑さ、そして無限の可能性を同時に示唆するものでした。この真摯な意見交換こそが、「個性豊か」という言葉の真髄を改めて問い直し、湘南学園がさらなる高みを目指すための貴重な羅針盤となるでしょう。
熱い思いが紡ぐ、未来への確かな一歩
当初予定していた1時間は、議論の熱量と深さゆえにあっという間に過ぎ去りましたが、熱気は冷めるどころか、ますます高まるばかりでした。その後もメディアルームに残り、時間を忘れて熱心に話し合う姿は、今回の取り組みがいかに彼らの心に火をつけ、深い共感を呼んだかを雄弁に物語っていました。そこには、単なる職務を超えた、湘南学園への深い愛情と、未来への強い責任感が満ち溢れていました。
この「湘南学園ポート」をきっかけに、湘南学園は新たなパートを越えた、真の「つながり」をスタートさせました。私たちはこの日生まれた熱い思いと、深められた議論を確かな原動力とし、総合学園としての連携をこれまで以上に強化していきます。この「つながりの輪」を学園全体に広げ、教職員、子どもたち、保護者、学園関係者、そして地域社会を巻き込みながら、さらなる発展を目指してまいります。湘南学園は、この藤沢の地で、未来を担う子どもたちが「個性豊かに」輝き、社会に貢献できる人材へと成長できるよう、そして持続可能な社会の実現に貢献できるよう、これからも挑戦し続けます。
湘南学園の新たな船出にご期待ください。この「ポート」から、未来へ向かう壮大な航海が今、まさに始まったのです。私たちはこの航海の先に、学園のさらなる飛躍と、子どもたちの無限の可能性が花開く未来を確信しています。
100周年に向けて、歩みを進める湘南学園へのご支援とご協力をよろしくお願いいたします。