未来を拓く羅針盤「全学ユネスコスクール」が示す希望
保護者の皆様、湘南学園を支えてくださる全ての関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
先日、保護者の方から「幼稚園と小学校もユネスコスクールに加盟したと聞きましたが、これから湘南学園はどうなるんですか?」という大変重要なご質問をいただきました。「ユネスコスクールでは何をするんですか?」という問いは、多くの方が抱く疑問でしょう。全学ユネスコスクール加盟は、湘南学園の教育にとって大きな一歩です。この機会に、まず「ユネスコスクールとは何か」、そして「本学園の教育の根幹」についてお話しさせていただきます。
なお、今回は、9月の幼稚園入園説明会の時にお話しした内容をもとにお伝えします。
湘南学園は幼稚園・小学校・中学校・高等学校の全学がユネスコスクールに加盟するという、日本の教育史上においても稀な、まさに歴史的な快挙を成し遂げました。この事実は、本学園が創立以来、一貫して育んできた教育の理念が、世界の最も普遍的で崇高な目標と深く結びついたことの証です。
「全学ユネスコスクール」という旗を掲げた今、私たちは未来への大きな希望と確かな羅針盤を手に入れたと感じています。
ユネスコスクール:平和な未来を創るための教育
ユネスコスクール(ASPnet)は、国連の教育機関であるユネスコが提唱する理念に基づき、「平和・人権・環境・異文化理解」などを大切にする教育を行う学校です。現在、日本では幼稚園から大学まで1083校(2025年9月時点)が参加しており、このネットワークの中で、私たちはESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)を推進する拠点としての役割を担います。
ESDとは、環境問題や貧困、紛争といった地球規模の課題を、「他人事」ではなく「自分事」として捉え、持続可能な社会の創り手となる力を育む教育です。単なる知識の詰め込みではなく、子どもたちが自ら問いを立て、探究し、多様な人々と協働して解決策を創造していく、体験を重視した学びが核心です。
「根っこ」から「幹」へ、そして「世界」へ
この全学ユネスコスクール加盟が持つ意味は、極めて深遠です。
- 幼児期に育む「世界とつながる根っこ」
幼稚園でのユネスコスクール活動(湘南学園ESD)は、まさにこの教育の「根っこ」です。ユネスコスクールは、難しい教育ではありません。子どもたちが自然の中で、友達との遊びや生活の中で、命のつながりや多様性に気づき、思いやりや探究心を育む場です。
・食育、野菜づくり: 命をいただくこと、自然の恵みへの感謝を体感します。
・生き物の観察: 命の尊さ、この世界を構成する多様な存在への気づきを育みます。
・友達との関わり: 思いやりや協力の心を育みます。
・落ち葉や土・水との遊び: 環境保全や循環の理解につながります。
幼児期に、遊びを通して「自分たちの行動が未来につながる」という感覚を体験的に培うこと。これこそが、将来、世界と関わる力の揺るぎない土台となります。
つまり、ユネスコスクールとは、難しい概念ではなく、「遊びながら地球や人とのつながりを感じる教育」なのです。お子さんが自然や友達との関わりを通して、思いやりや探究心といった、将来世界とつながる力の根っこを育てる土壌が、幼児期のユネスコスクール活動(湘南学園ESD)なのです。
- 一貫教育で育む「太い幹」
幼児期の活動が未来へつながる
特に、本学園の教育の根っこの部分を支える幼稚園の活動は、これまでもユネスコスクールが目指す教育そのものでした。遊びや生活の中に、未来につながる価値が詰まっています。この確かな根っこを土台に、小学校、そして中高へと進む過程で、学びの「幹」を太くしていきます。
学年が上がると:テーマは「身近な遊び」から、「地域社会の課題」「地球規模の課題」へと、経験と発達段階に応じて深化していきます。
コアは不変:しかし、「平和・人権・環境・異文化理解」という教育のコアな価値観は、幼小中高の15年間、一貫して変わりません。
小学校の加盟が、これまでの本学園の体験を重視した、生きた学びへの国際的な評価であったことは、私たちの誇りです。中高が2013年から積み上げてきた「湘南学園ESD」の知恵と実践が、今、全学のバトンとして継承され、より強固な一貫教育として昇華されるのです。
未来への希望:お子さんが世界と関わっていく姿
湘南学園が目指すユネスコスクール活動は、単に知識を教えることではありません。
それは、お子さん一人ひとりが、将来、予測不可能な時代にあっても、自らの価値観と知恵を駆使し、平和で持続可能な社会の実現に貢献できる「地球市民」として羽ばたいていくための確かな道筋を、学園全体で創造し続けることです。
この全学ユネスコスクールという循環の中で、子どもたちの成長という「葉や花」が豊かな土壌を作り、さらに根を張り、幹を太くする…この持続可能なサイクルこそが、湘南学園の教育の未来を確実なものにしていきます。
保護者の皆様にお尋ねします。
「お子さんがどんなふうに世界と関わっていく姿を思い描いていますか?」
湘南学園は、この全学ユネスコスクールという壮大なビジョンのもと、未来への希望を胸に、その夢を実現するための確かな土壌と学びを提供していきます。
今回のように、学園の教育についてご質問やご意見がありましたら、遠慮なくお寄せください。
今後ともご理解、ご支援をよろしくお願い申し上げます。