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秋の学園風景 〜曇り空の下で育まれる日常〜

2025年9月30日

空にはうっすらと雲が広がり、時折、陽の光がその隙間からこぼれ落ちます。晴れ渡る秋空とは少し違い、どこか静けさと深まりを感じさせる曇り空。そんな空の下、校庭からは子どもたちのにぎやかな声が風に乗って届いてきます。大グランドでは小学校の「たいいく表現祭り」、小学校グランドでは幼稚園の「らんらんにこにこらんど」の練習の掛け声、休み時間の笑い声、友達を呼ぶ声、先生の呼びかけの声。猛暑の夏が過ぎ去り、季節は確かに移ろい始めています。芝生の色も少しずつ深まり、校庭の隅では、数人の子どもたちが寝転びながら空を見上げています。雲の形を追いながら、何を思っているのでしょうか。

 

教室では、真剣なまなざしでノートに向かう子、友だちと小さな声で相談する子、廊下で先生と語らう子の姿があります。図書室ではページをめくる音だけが響き、廊下では係の仕事に励む姿が見られます。保健室では、少し疲れた表情の子が静かに休んでいます。こうした一人ひとりの姿に、教職員は目を凝らします。子どもたちの表情、言葉、動きのひとつひとつに、今の心の状態や成長の兆しが表れているからです。教育とは、こうした日常の中にある「小さな変化」に気づき、寄り添い、支える営みなのだと改めて感じます。

 

不意に、校庭がしんと静まり返ります。休み時間が終わり、子どもたちが一斉に校舎へと戻っていきます。そして、授業が始まります。教師たちは、教室という小さな社会の中で、子どもたちが安心して自分を表現できるよう、環境を整え、関係を築いていきます。心理的安全性が保たれた場では、子どもたちは失敗を恐れず、挑戦し、学び合うことができます。曇り空のように、時に不安や迷いを抱える子どもたちにとって、学校が「安心して曇れる場所」であることは、何よりも大切なことだと私たちは考えています。

 

秋は、実りの季節であると同時に、内省の季節でもあります。子どもたちは、日々の学びや友だちとの関わりの中で、自分自身を少しずつ見つめ直し、成長していきます。その過程には、迷いや葛藤もありますが、それこそが「育ち」の証です。私たち教育者は、子どもたちの「今ここ」に寄り添いながら、未来へのまなざしを持ち続けます。一人ひとりの違い(個性)を尊重し、問いを大切にし、共に考える場をつくること。それが、学園としての使命であり、私自身が大切にしている「育みの媒介者」としての役割です。

 

保護者、学園関係者の皆様には、日々のご理解とご協力に心より感謝申し上げます。季節の変わり目は、子どもたちの心身にもさまざまな変化が訪れる時期です。どうか、ご家庭や地域でも子どもたちの小さなつぶやきや表情の変化に耳を傾けていただければと思います。学校と家庭が手を携え、子どもたちの「安心」と「挑戦」を支えることで、彼らは自分らしく歩みを進めていくことができます。

 

これからの学校行事:中高学園祭、たいいく表現祭り(小学校運動会)、らんらんにこにこらんど(幼稚園運動会):がどうか澄み渡る秋晴れのもとで行われますように。子どもたちが力を尽くし、仲間と支え合いながら、ひとつの目標に向かって挑戦する姿は、私たち大人にとっても大きな学びとなります。曇り空の日であっても、子どもたちの心に豊かな実りが訪れるよう、私たち学園一同、力を尽くしてまいります。