新入生は「希望」、湘南学園は「希望」
すがすがしい新緑と色とりどりの花々。爽やかな季節の到来の中で、湘南学園の新年度も順調な歩みを進めています。
湘南学園は、幼小中高からなる男女共学の総合学園として、今まで以上に相互の連携・協力を深め、また、教育活動の工夫・改善を図りながら、新たなステージに向けて挑戦していきたいと思います。
ところで、私は新聞の切り抜きということをやっています。振り返ってみると子どもの頃から新聞が好きでした。大学生になり一人暮らしを始めてから、そして家庭をもってから今に至るまで、新聞は毎日の生活の一部といってもいいほど自分にとって大事な存在です。新聞は熱心に読んできたものの、新聞の切り抜きまでやるようになったのは五年ほど前からのことになります。
2012年度一年間、地元紙である神奈川新聞の「紙面拝見」という欄を担当しました。私を含む五名が交代で、毎週日曜日に掲載される当該の欄に記事を執筆するというものでした。神奈川新聞の記事を読み、記事についての感想やコメント等を書くというのが与えられた役割でした。
新聞記事についてのコメントですから、当然新聞を丁寧に読むことになります。必要な記事には印をつけたり、切り抜いたりすることになります。そうした材料を自分なりに料理し、950字にまとめていく作業を一年間行ないました。その経験を通し、新聞を丁寧に読むということが習慣化されていきました。そして、丁寧に読むことで、いろいろなことが新聞から見えてくることに気がついていったのです。
今、全国紙も含めて、新聞記事の多くは署名記事です。「紙面拝見」を担当して、記者にも注目するようになりました。記者には得意分野があり、あるいは文章も含め個性があります。もちろん、新聞を丁寧に読むことで、思わぬ発見があったり、知らなかったことを学ぶことが少なからずあります。自分が新聞に深く関わるようになって以来、新聞の切り抜きをするようになったという訳です。
「紙面拝見」を担当してよかったことのひとつは、文章の書き方です。相手に分かりやすく伝えるための表現、構成等について深く考えるようになりました。950字という限られた字数の中で、記事にコメントを加えながら、自分の考えをどう盛り込んでいくか、書き出しやまとめをどう工夫するか等々、実に多くのことを学ぶことになりました。
新聞社の方の来訪を受け、一年間担当することを依頼されたときは、どうしたものかと考えたのが正直な所でした。折角のご依頼なので挑戦してみようということでお引き受けして本当によかったと思っています。
新聞記事の切り抜きの話に戻ります。手元にある切り抜きの中に、2013年4月6日付神奈川新聞記事があります。
記事の見出しは、「ようこそ「地域の希望」」。小見出しには、「青根小、たった一人の入学式」とあります。相模原市緑区の山あいにある相模原市立青根小学校が、二年ぶりに一人の新入生を迎えたという記事でした。
記事には新入生を教職員と八名の在校生が出迎えたとあり、さらに体育館での式典の出席者に関しては、ご両親はもとより、妹さんに加えて、「近隣住民や卒業生、津久井署青根駐在所の駐在員の姿も」とあります。地区の自治会長さんは「「過疎地域にとって新入生は大きな希望」と声を弾ませる」と続いていました。二年ぶりに迎えた一人の新入生が、「地域の『希望』」であることが、強く伝わってくる記事でした。もちろん「地域の希望」であるだけなく、ご両親始め「ご家族の希望」であり、「学校の希望」でもあることは言うまでもないことかと思われます。
私はこの記事を読みながら、「新入生は希望」ということを考えています。
山あいの小さな小学校に二年ぶりに新入生が入学し、地域全体でまさに希望の象徴として温かく受け止めたというのが記事になった理由かと思います。読者にも温かさが伝わる記事に共感を覚えながら、「新入生は希望」は、どの地域にも、どの学校にも当てはまるということを改めて考えています。
とりわけ、それぞれのご家庭にあっては、かけがえのないお子様の入学をご家族揃って喜ばれ、お子様の未来に希望を託しておられるはずです。
私たちは、そのことをしっかりと受け止め、教育活動に当たってまいります。
新入生のみならず、学園のすべての子どもたち一人ひとりが「希望」であることを深く心に刻みながら、湘南学園そのものが「希望」と呼ばれる学園となるべく、新年度、心新たに更なる努力を続けていきたいと思います。