宝は足元に埋まっている
「私たちの日常や身近な環境にこそ、本当に価値あるものが隠されています。外の世界や遠くの場所にばかり目を向けず、まずは自分の足元や周りを見つめることで、気づかなかった幸せや重要なことに出会えます。あまり近くにありすぎて、そういった大切なものを見落としてしまうことがあります。湘南学園に埋まっている宝は、たくさんありそうです」
私が初めて山田前学園長に連れられて学園内を回った時に感じたことです。そして、この3年間ずっと感じてきたことでもあります。中に入ってしまうと、だんだん日常行われていることへの価値を見過ごしてしまいそうになります。私は、全体を俯瞰して見る立場ですので、常に新鮮な目で見、感じ、埋まっている宝を掘り出す努力をしなければならないと考えています。
大きな宝のひとつに「総合学園という恵まれた環境」があります。その環境の中で、人と人が出会い、交流し、学び合い、高め合い、育ち合っています。
2月26日(水)小学校の校庭では小学校5年生と幼稚園年長の学園生がドッジボールをして遊んでいました。卒園期を迎えた年長児は、小学校の教室で小学生と一緒に学んだり、小学生が先導して校舎内見学をしたり、校庭や小ホールで遊んだりして、年長児は小学校に入学する不安を減らし、希望と期待を膨らませます。総合学園だからこそ、移動時間もかからず、結構長い時間交流することができます。他にも小学校企画の活動への参加もあり、幼稚園児にとって楽しい時間になっていることと思います。この交流も休み時間などの「ちょこっと交流」に発展していくと、幼稚園児にとって小学校がさらに身近に感じ、自分にとっての宝になっていくかもしれません。
また、幼稚園と高等学校の交流も素敵な時間です。高校2年生の家庭科幼稚園実習は、湘南学園ならではの活動です。参加している高校生、幼稚園児のみならず、その触れ合いを見守る大人の表情も笑顔で、優しい気持ちになれる時間です。この実習で幼稚園に興味をもち、幼稚園の教員を目指す高校生もいるようです。現に卒園生が、湘南学園幼稚園教員として働いてくれていますしね。
さらに、幼稚園・小学校・中高の繋がりが生まれている活動もありました。中高の「古着回収プロジェクト」は幼小にも呼びかけられ、全体のプロジェクトに発展しました。また、「届けよう 服の力プロジェクト」は小学校から幼稚園に呼びかけられ、合同プロジェクトとして、これまでにない新たな取り組み(GU店長による服のたたみ方教室・見知らぬ人への手紙など)が展開されました。幼稚園や小学校においてもリサイクルや貧困、他者への思いやり・ケアなどについて考える機会にもなりました。
このような学園全体を巻き込んだ取り組みは、ESDをホールキャンパスアプローチで進めることにもつながります。これは、大変大きな宝と言えます。総合学園の強みを生かしたESDの推進は、湘南学園にとってこれからの大切な指針となります。
まだまだ宝は足元に埋まっています。きっと、これまでも掘り返そうとされた方がたくさんいたのだと思います。その中で表に出てきたものもあれば、また埋まってしまったものもあるのでしょう。気づかれないまま埋まっているものもあるでしょう。慣れっこになってしまわず、感動をもって掘り続け、お伝えしていきたいと思います。