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第19回 瀬戸大橋30周年~第1回高校研修旅行の想い出

2018年6月9日

 瀬戸大橋は、さる4月10日に開通30周年を迎えました。
 私自身は、その開通後に始まった第1回高校研修旅行(1990年)の1コースがこの瀬戸大橋を選んだことをまず思い出します。今日は瀬戸大橋とその想い出についてご紹介させていただきます。
 

 瀬戸大橋は全長9.4kmもあり、9年半の工事により1988年に完成しました。高速道路と鉄道が並行して使用され、四国(香川県)と本州(岡山県)とを初めて結ぶ、画期的な夢のブリッジでした。

 本州と四国の連絡は、それまで海上輸送に依存して様々な苦労がありましたが、この開通によって児島・坂出間は約10分に短縮され、四国の主な都市と全国各地の時間距離は大幅に改善されたのです。

 四国で生産された食料や工業製品などは全国向けに出荷しやすくなり、四国への観光アクセスも一気に前進しました。四国地方の経済の活性化に貢献したことでしょう。

 しかし一方で、本州系の企業が進出して地元系の企業が逆に苦戦したり、若い人びとが本州へ進学や就職等で移動しやすくなり、高齢化が加速する地域も増えたようです。

 瀬戸大橋が通過する瀬戸内海の島々や、双方の終点の地域も、開通当時は観光などで大盛況でしたが、その後は商業の不振になやむ傾向もありました。

 先日特集番組を観ましたが、巨大な橋脚が支える精緻な構造、約150mの高さから延びるメインケーブルの迫力、塗装や点検補修の工事の大変さなど、関係者の方々のご苦労や、日本の建築工学のレベルの高さに感銘を受けました。開通後の漁業関係者の新たな努力も知りました。
 

 1990年度担当した高2学年は、従来の「修学旅行」から新たな「研修旅行」に変わった初年度でした。共通の研修テーマを設けて、学年全体を分散させて4~5コースを新設することになりました。

 統一テーマは「開発と自然保護」とし、旅行委員会のメンバーは全国各地をいろいろ調べてオリジナルな旅行をはりきって構想しました。最初だからと生徒の委員が自ら下見に行って行き先を提案したり、4泊5日の行程表まで作成してみる動きまでありました。

 担当教員とともに練り上げた各コースの概要をプレゼンする姿、旅行中にすべてを自分達で仕切ろうとする姿。学園生の持つ可能性、自主性の素晴らしさに心うたれる思いでした。

 決定したのは、「四万十川」、「淡路島」、「瀬戸大橋」、「日田」、「若狭湾」の5つのコースでした。いろいろな苦労を委員の生徒達は経験しましたが、「バス1台で廻れる」サイズの旅行は訪問先の候補を一気に増やし、“自分達が主人公になれる研修旅行”の手応えや達成感も格別だったことでしょう。
 

 新しい研修旅行の創出を共にした学年の生徒達は、中高6年間を通して担当できた、懐かしい生徒達です。もう40代半ばを迎えた皆さんとは今でも深いつながりの気持ちがあります。

 卒業後に有志と瀬戸大橋を通過して香川県・小豆島をめぐる小旅行に誘われる機会もありました。大橋の景色は圧倒的に壮大でダイナミックでした。再訪する機会をいずれ持ちたいと思います。