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信じて任せる、笑顔で見守る 体育祭

2025年5月23日

梅雨空を思わせるような日、気温が30度を超える日、それでも湘南学園に吹く風は心地よさを感じます。学園では、5月後半からは各パートで学校行事が始まりました。その皮切りが中高三大行事の体育祭でした。

事前の練習から予行練習、前日準備、そして体育祭当日と様子を見てきましたが、生徒主体で動いている姿をたくさん見ました。先生たちはというと、周りで生徒が活動する様子を見守っているだけです。中には一緒に楽しんだり、盛り上がったり、写真や動画を撮っている先生もいます。予行練習を見守っている先生に聞くと、「ここまで生徒に任せきっている学校はないと思います。今年から変わったこともあるので、手間取っていますが、これも大事な学びです」こうやって任せられた生徒たちは成長していくのです。

私も小学校に勤めていた頃、行事によって子どもたちが成長していく姿をたくさん見てきました。行事には、普段の授業では体験できないような学びがたくさんあるのです。生徒は任せられたことによって、すべてのことを自分事として考えるようになります。問題が起きても自分たちで解決する覚悟をもって臨んでいます。体育祭当日も競技の中で何度か問題が発生しました。どうするのかと見ていると、パッと実行委員が集まり。状況を確認し、次にやることを決めていました。素晴らしい説明力と決断力に一緒に見ていた小学校の岩渕校長と感心したものです。自分たちでつくる体育祭という素晴らしい伝統を今年も見ることができ、そして来年へと引き継いでいってくれることを確信しました。

体育祭の競技や演技などは華やかで感動的なものです。それを支える生徒会や実行委員などの活動は地味かもしれませんが、その育ちは大きなものがあります。さらに、その生徒たちを支え、自信をもって運営することができよう支える先生方がいることも忘れてはなりません。先生たちが見守るというのは丸投げすることではありません。「教え、励まし、正し、任せる」というプロセスを試行錯誤しながら繰り返し、生徒主体の体育祭が生まれます。

生徒主体の体育祭は、単なる学校行事の枠を超え、生徒たちの成長と学校全体の活性化に大きく貢献する素晴らしい機会です。教師が主導する体育祭とは異なり、生徒が企画・運営の主体となることで、様々なメリットが生まれます。生徒自身が体育祭のテーマ決め、種目の選定、ルールの設定、役割分担、広報活動、当日の運営まで、全てに関わることで、主体性と責任感が飛躍的に向上します。意見を出し合い、議論し、合意形成を図る過程で、リーダーシップやフォロワーシップ、そしてコミュニケーション能力といった社会で不可欠なスキルが自然と培われます。特に、実行委員会の生徒たちは、全体をまとめ、様々な課題を乗り越える経験を通じて、大きな達成感と自信を得たことと思います。

また、生徒が企画の中心となることで、型にはまらない斬新なアイデアが生まれる可能性が高まります。既存の種目にとらわれず、生徒の視点から「もっと楽しめるにはどうすれば良いか」を考え、オリジナルの競技を考案したり、ユニークな演出を企画したりする中で、創造性が刺激されます。私も初めて見た競技があり、ドキドキワクワクしながら応援しました。また、準備や運営の過程で予期せぬ問題が発生した際には、生徒自身が協力して解決策を考え、実行することで、問題解決能力が養われます。これは前述の通りです。生徒から学んだ瞬間でもあります。

体育祭の成功には、学年やクラス、縦割りチームなど、様々な単位での協力が不可欠です。生徒主体の体育祭では、生徒同士が協力し合い、助け合う場面が格段に増えます。準備段階での役割分担や練習、当日の応援や片付けなど、目標に向かって共に汗を流すことで、連帯感や一体感が強まります。普段あまり交流のない生徒同士、先輩と後輩の関係も、共通の目標を持つことで新たな繋がりが生まれ、学校全体の協力体制が強化されます。

さらに、生徒主体の体育祭は、教師が生徒を「管理する立場」から「サポートする立場」へと移行するきっかけとなります。生徒が自ら考え、行動するのを温かく見守り、適切なアドバイスを与えることで、教師と生徒の間に信頼関係が深まります。生徒は教師をより身近な存在として感じ、困った時には相談できるパートナーとして認識するようになります。このような関係性は、日々の学校生活にも良い影響を与え、より豊かな学びの場を創造します。

そして、自分たちの手で作り上げた体育祭は、生徒にとって忘れられない貴重な思い出となります。企画から運営、そして成功までの道のり全てが、彼らの心に深く刻まれます。成功体験はもちろんのこと、時には困難に直面し、それを乗り越えた経験も、将来にわたって彼らを支える大きな財産になることでしょう。

これから、各パートでの行事が続きます。体験が充実しているのも湘南学園の特色でもあります。子どもたちが行事を通して成長していく様子を見守っていきたいと思います。大人はサポーターとして関わっていけるようお願いします。