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第128回 「働き方改革」と若い世代の課題

2019年10月23日

 いま進行する社会の変化の中で、「働き方改革」は時代のキーワードの1つとなりました。我々大人の職場や労働の環境でも急務の課題になっています。
 次世代の若者にとっては、構造的な産業システムや価値観の変化にさらされ、「どう働き、どう生活していくか」の切実な問いに、我々以上の長い年月で向き合っていくことになります。

 親として、教員または人生の「先輩」として、大きな潮流をふまえてどう語りかけ助言できるのか、今回はそうしたテーマについて述べたいと思います。
 
 日本の組織社会の特徴とされてきた「終身雇用制度」、「年功序列型賃金」、「企業内組合」といった指標は、全体としてみれば確実に動揺し、崩壊の方向へ進んでいます。グローバル競争の中で非正規雇用が枠を広げ、給与の段階的増額は保証されず、組合加入率は下がっています。

 寿命が伸びて「人生100年時代」が語られ、サラリーマンの定年制度は、現在「65歳までの希望者の雇用の義務化」にありますが、年金制の維持困難もあって、「70歳以上への引き上げ」の方向へ進む可能性もあります。
 健康な高齢者の再就職がもっと広がれば、「現役→余生」というこれまで望まれたライフスタイルもかなり変容していくかもしれません。「定年」の概念も動揺するのでしょう。実際にボランティアや社会貢献で活躍する高齢者の姿が、社会の幅広い分野で広がっています。
 
 そもそも日本社会の高齢化、少子化は劇的なスピードで進行中です。
 人口の年齢構成が激変し、労働力人口が急速に減少することは、日本社会の当面する最大の難問です。高齢者の就業率を高め、女性が子育てや教育と両立して就業できる支援を急ぎ、外国人労働者の人権を尊重する受け入れを徹底することは、いずれも待ったなしの課題ではないでしょうか。
 
 そして現代社会特有の新たな情勢があります。AI(人工知能)の著しい発達と実用化です。駅の自動改札化は当たり前の光景になり、身近なお店や施設でロボットが接客し、会計自動化が増えています。自動車の運転光景も近未来には一変するとされました。
 AIの普及により様々な単純労働はもちろん、知的労働までもが人工知能を載せた機械やロボットに取って代わられ、これまで多数の人間の雇用を保証してきた多数の職種が消滅し、再編を余儀なくされると予測されるにいたったのです。
 
 こうしたいわば「受難の時代」の中で、「AI時代に負けないで生きぬくにはどんな力が肝要なのか」という議論がさかんになっています。
(次回へつづく)