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第213回 コロナ禍「親の心構え」の提言

2021年5月12日

 5月も半ばになります。新型コロナウイルス感染の収束の目途は立たず、全国では大型連休明けに「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の延長と拡大が発出されました。
 未曽有の困難な情勢が長期化し、子どもたちをめぐる環境は深刻です。長期間ずっと学校へ行けずに、自宅にこもる生活を余儀なくされる子どもが世界各地で何億人もいます。登校できる子どもにも様々な不自由が続き、解決の見通しは示されません。
 大人も仕事や生活で苦しみを抱え続け、在宅時間が長くなった親子の関係にもトラブルやストレスが増えやすくなっています。

 そこで今回は、昨年「世界保健機関」(WHO)が作成し、世界中の親や保護者へ向けて送り届けた、子育てのメッセージを紹介したいと思います。
 
 「コロナ禍で親として子どものためにできること6か条」という指針の文書です。
 誰でもネット資料として検索でき、6か条の各ポスター資料をダウンロードできます。世界各地の言語に翻訳されており、民族や文化の多様性も踏まえて、わが子と向き合う中で心がけてほしい子育ての姿勢について、日常生活で役立つ普遍的なアドバイスが掲載されているのです。
 
 その6か条は、以下のテーマで構成されます。各テーマでは、子育ての助言として納得でき、すぐに始められる内容が例示されています。それぞれの解説から紹介しましょう。
1.子どもと1対1の時間
2.いつも前向きに
3.ルーティンを作る
4.もし「悪い子」になったら
5.落ち着いて、ストレスと向き合おう
6.新型コロナウイルス感染症について話そう
 
 1番目は「子どもと1対1の時間をつくろう」です。
 世界で学校閉鎖も広がった情勢のもと、子どもと個別に向き合う時間を大切にすることがまず述べられています。子どもが愛され守られ、自分が大切な存在であると感じられる時間になるように努めることです。少なくとも20分でもいいので毎日同じ時間帯に決めることにより子どもも楽しみにすることが説かれています。
 「何をしたいか」子どもに聞いてみることで選択肢を与えることが子どもの自信につながることが述べられます。「幼少の子ども」「小学生の子ども」「中高生の子ども」とそれぞれ過ごす時の具体例が示されます。テレビやスマホの電源を切って感染症から頭を切り離すことも示され、「子どもの心配事に耳を傾け、愛情を持って明るく子どもに寄り添おう!」とまとめられています。
 
 2番目は「いつも前向きに、子どもへの言葉を工夫しよう」です。
 肯定的な指示を心がけ、たくさん褒めてあげるように努めることです。例えば「散らかないで」でなく「服をかたづけてみようか」とポジティブに伝える言葉がけです。腹が立っても大声で叱らず、名前を呼んで注意を向けさせ、落ち着いたトーンで話すことです。
 良いことをしたらしっかり褒められると嬉しいし、親がその行動に気づいているんだと安心感も持てます。子どもに指示する内容は実際に出来る内容かどうかをちゃんと考え、現実的な目標を示すことも大切です。特に中高生は友達との連絡が切実であり、SNSの問題も親子の交流もふくめたサポートが求められるとされています。
 
 3番目は「柔軟に続けられるルーティン、新しい日課を作ろう」です。
 仕事も学校も制約だらけ、でも家庭の時間は充実できます。それぞれ日々の活動や自由時間を決めるスケジュールを親子でも話し合ってみます。学校の時間割にならって日々のルーティンを子ども自身に計画させ、自覚ある生活を過ごせるように努めます。毎日運動する時間も取り入れるのもお勧めです。ストレス軽減や外に行けない発散になります。居住地域に制限がなければ親子で外の空気に触れる機会もほしいし、手紙やお絵かきで周りの人とシェアすることもできます。手洗いや消毒を楽しく励行できる遊びも例示されています。周囲と安全な距離を保ち、衛生面に気をつけ、周りの人に思いやりを持って接する親の姿から子どもは学び、その行動をお手本にしていきます。
 そして一日の終わりにその日のことを振り返る短い時間をとることが勧められます。その日に子どもができた良い行いや楽しかったことを伝え、親自身も自分の努力をねぎらうことです。
 
 「6か条の提言」についての紹介は前半までとします。その後半では、子どもの問題行動に対してはどのように対応すべきか。親自身もストレスから心と体の健康をどう守って疲労回復を図っていけるか。親子でコロナ感染の不安をどうケアし、正しい情報を共有して自衛していくか。そうした重要テーマについてレクチャーがなされています。

 民族や生活文化の多様性を越えて、世界の人びとが励まされてきた貴重な助言情報です。ぜひ直接ご覧になってみていただければありがたいです。