第215回 コロナ禍の子どもと学校行事
コロナ禍をめぐる厳しい情勢が長期化しています。一年前の今頃は、全国に広げられた緊急事態宣言がやっと解除され、その後の段階的な学校再開プランの準備を進める時期でした。次年度は情勢がある程度落ち着き、毎年実施してきた学校の取り組みもほぼ再開できればと願いましたが、現在も世界全体が未曽有の困難に直面し続けています。
子どもや若者が向き合う深い不安や孤独感、ストレスが心配されます。休校期間がはてしなく続く状況や対面の学校活動の再開が危うい状況が世界中にあります。再開後には感染防止対策の励行が必須であり、日本全国の学校も苦労と模索を重ねる日々です。
湘南学園も同様です。神奈川県内では「まん延防止等重点措置」が発令され、対象区域の拡大と延長がなされて現在に至っています。国と県の教育行政から細部まで要請を受け、幼小中高の各パートで実施を中止ないしは延期せざるを得ない行事やイベントがいくつも出ています。
一方で進行や規模を全面点検し、感染防止対策を徹底して実施できた取り組みもあります。今回は、新年度に入って実施できた全校行事の中からこの通信でもご紹介いたします。小学校の交歓会と中高の体育祭です。それぞれの校長日記や校長通信、学びBLOG等も合わせてぜひご覧ください。
第48回小学校交歓会は、4月27日に最高の日和に恵まれ、片瀬西浜海岸で行われました。新小学校1年生を迎え、全学年で構成される縦割りなかよし班を基礎に行動し、みんなで歓びを交わし合う素敵な全校行事です。6年生がリーダーとして準備を進め、当日は列の先頭になって1年生に寄り添い、下級生の隣に上級生に並び歩く各班の光景に心が和みます。目の前には江ノ島、波の音をBGMに各班が選んだ「生きもの」(プラカードに描いて掲示)の作品を、砂による造形でみんなで声を掛け合って創り上げるのです。さわやかで充実した時間が流れ、子ども達は大きな達成感を共有して笑顔いっぱいでした。
昨年開催できなかった大切な行事であり、児童も教員も共に喜び合う貴重な一日でした。先生方は入念な感染対策や安全対策、万全の連絡体制を組んで臨み、日頃制約の多い毎日を送る子ども達にとっては、新しいクラスと異学年にも仲間を広げて協力し合える手応えや楽しさをいっぱい体感してくれたことと思います。
第17回中高新体育祭は、5月20日に雨天順延を経た体育日和に最後まで守られ、大グラウンドで行われました。高2がリーダー学年で中1までの「縦割り色別連合」で競われ、種目も運営もルールもすべて生徒主体の生徒会行事です。実行委員会と総務委員会、高2全クラスのリーダー達を中心に創り上げられます。各色独自の「アトラクション」が構想され、GW明けから一気に練習を重ねます。テーマ性ある「オブジェ」の制作が並行して進められ、学年独自種目にも生徒のアイデアが発揮されました。何よりも密を避けて感染リスクを可能な限り減らそうと、グラウンドの総人数を規制すべく教室での同時中継も準備され、各競技の進行や協議間の移動も入念に工夫されました。実行委員会の多数の係は感染対策の徹底も話し合い、アナウンスも重ねて体育祭の成功を実現したのです。
昨年秋に高校の2学年のみで実施した経験も生かし、先輩から受け継いだ栄えある大事な行事を次の後輩達に必ずつないでいく!との強い決意。審査員を今回も努めさせてもらい、各パフォーマンスの素晴らしさと生徒達の団結や実行力に心から感動しました。
各パートではこうした学園生のつながりやチャレンジや達成感を大事にします。現状では出来ないこともあるけれど、こうすれば実現できるはずと小さな場面から学園生も考えて提案できる場面があります。コロナ禍でもこうして実現できた!という機会が子ども達に必要です。想定外の状況でも周りの人と知恵を出し合い、分担して協力できた経験がこの先につながります。一歩ずつ希望が広がることを信じて進んでいきたいと思います。