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第216回 園生活で豊かに広がるあそびの世界

2021年6月2日

 幼稚園時代の想い出は、自分の場合もう遠い過去のことです。幼少時は信州南部で育ち、通った幼稚園は長い坂の上にありました。残された当時の写真を見ると苦笑します。
 自分だけポツンと離れて行動したり、他の園児と違う方向を一人で見ていたり。親はそんな自分をどう思って撮っていたのか・・・。自分だけの世界に入って夢中になることが多く、集団行動は苦手なひとりっ子であったと思います。
 
 湘南学園の幼稚園では、子ども達が力いっぱい遊びや諸活動に取り組むことを基本に、いきいきと生活する子どもを目指して多彩な保育が展開されています。
 60代半ばまで齢を重ねて学園幼稚園へ伺うと、いつも園児達の純真な可愛さやはじける笑顔、あふれる生命力に接して嬉しいです。ずっと寄り添って支援する保育の仕事の大変さや深い使命について理解を深められる思いになります。
 今回の通信では、新緑あふれる環境の中で、五感をたっぷり使って好奇心いっぱいに、様々なあそびに親しむ幼稚園の子ども達のことを紹介したいと思います。
  
 園庭でいろんなあそびに夢中になる園児達の様子に先週出会いました。部屋の前の大きな砂場で裸足になり「砂遊び」をする子ども達。大きな山や長い川が作られダイナミックな光景です。どろんこになって夢中であそぶ姿が頼もしいです。「石けんクリーム作り」も大流行です。固形石鹸を削って水を少し入れ、器具を利用して片手でボールを持って泡立てていく作業に没頭しています。十分泡立ったら好きな色の絵の具を入れると各色美味しそうな果実クリームが連想されます。すべり台と周辺であそぶ子ども
達もいれば、ボールあそびで先生方と一緒に盛り上がっているグループもいます。生き物のお世話で年長さんが年下の子に優しく教えてあげている光景もあります。園庭のあちこちで黙々と自分の好きなことに取り組む園児も見かけます。多くの屋内教室では更に多彩な遊びが展開され、先生方が隈なく子ども達に寄り添い見守り声をかけています。
 
 『幼稚園だより』では子ども達の成長について年少さん・年中さん・年長さんそれぞれ、この時期特有の園生活の様子、周囲との関係での成長ぶりが詳しく具体的に紹介されています。例えば年少さんは、入園当初の緊張がずいぶん和らいでその子らしさが広がる時期です。幼稚園は安心して過ごせる楽しい場所と実感しながらもお母さんと離れる不安の大きな子もいます。お家ではぜひこんな関わりをスキンシップを、とお伝えするメッセージに強く共感しました。遊具をめぐる子ども同士の小さなトラブルもお互いの気持ちを理解して伝え合える、学びの機会であることが述べられています。
 
 子どもが自分の好奇心を伸び伸びと発揮して探求すること、五感を駆使して様々なあそびや体験を重ねることの重要性がいつも伝えられます。年中さんでは、壊れないお団子作りに挑戦したり、「帽子鬼」あそびでどうしたら勝てるか夢中になる場面が紹介されています。ある歌からそれぞれ「好きな色」を出し合ったら、手話に興味のある子が各色の手話をどうするか調べるなど、子どもの好奇心は多様なルートで広がりました。年長さんは、土起こしをして夏野菜の苗を植えました。選んだ野菜それぞれどうやったら美味しい野菜が実るのかさっそく調べ上げたり、ご家庭で聞いてきた様々な情報が集まる様子もありました。獣医さんから動物の話を聞くと、毎日うさぎ・チャボ・カメのお世話をしているのですぐに現場に行き、餌や糞の状態をじっと観察して確認する姿もあったそうです。
 関連して、今年度の「ひまわりプロジェクト」が始まり、学園高校生がひまわりの苗を幼稚園に届けてくれました。これから大きな花を咲かせるまで花の成長を楽しみに園児達もお世話をしてくれます。
 
 学校案内では、次のように学園幼稚園の教育目標を表現しています。
〇<つながる・強い根をはる>さまざまな人との関わりの中でコミュニケーション力を身につけ、共感し合う気持ちを養います。
〇<のびる・自ら伸びる力を育む>友達や先生との触れ合いの中で個性を伸ばし、たくさんの可能性を広げていきます。
〇<ひろがる・たくさんの葉をつける>いろいろな物を見て触れて感じることで、新しい発見をし生活が豊かになっていきます。
〇<ひびきあう・いろとりどりの花を咲かせる>力いっぱいあそび、自ら課題を持ちながら主体的に取り組んでいきます。
 
 「スマホ時代」の情報社会が進展し、人工知能・ロボット・ビッグデータなど先端技術がどんなに展開されても、人間の発達にとって大切な子育てや教育の基礎が動揺してはいけないのではないでしょうか。幼児期の親子関係や保育環境がどんなに子どもの成長にとって重要なことか改めて認識を深める必要があると思われます。湘南学園は幼小中高を持つ総合学園であり、大事な始めに位置する幼稚園の保育実践とチームワークからいつも学んでいきたいと思います。