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第233回 湘南学園・創立88周年

2021年11月10日

 コロナ禍のもとで日本中の学校生活やキャンパスライフが大きな制約を受け続けています。オンラインの学びや交流は貴重なチャンス拡大でしたが、やはり直接に集まって憩いや会話を楽しみ、一緒に取り組めて居場所があることが若い世代にとってどれだけ不可欠なことかを痛感する日々でした。無気力や不安が深まり、未来への夢や目標を持てない子どもや若者をめぐる深刻な報道も続いています。教育関係者の誰もが当面する現実です。

 湘南学園は、来週月曜日の11月15日に、88年目の創立記念日を迎えます。
 創立100周年の節目まであと12年となる長い歴史を通して、類例のない独自の運営方式が維持されてきた私立学校です。この危機の時代の中で、創立記念日の節目を前に、改めて未来へ向けた湘南学園の独自の使命を自覚したいと考えます。
 
 湘南学園の創立は1933年(昭和8年)。軍国主義の強まる風潮に抗して、子どもの成長と幸福を第一に、「わが子を託せる」学び舎を創りたいとの強い願いから発足しました。

 創立関係者からの尊いご寄付やご尽力を受けて小学校と幼稚園から数名規模で開学され、転入生が増加しました。大戦の時代をはさんで学事と経営でご苦労が続かれましたが、戦後には新制の中学校と高等学校の設立も認可されました。明るく伸びやかな校風が注目されて入学者が急増し、幼小中高を併せ持つ総合学園としての基盤が築かれていきました。
 その後も社会の大きな変貌や学内の様々な困難を乗り越え、教職員と保護者の協働による運営が続けられました。学校間の相互理解や教育実践の連携に弱さがあると指摘され、最長15年間の一貫教育の視点で連帯感を強め、総合学園の内実を豊かにする課題が自覚されていきました。

 今世紀に入り、同窓会との協力関係が回復されて数々のご貢献をいただき、後援会も発足されて多方面で教育支援を寄せてくださいました。全学のPTAは独自性に富む新しい活動を展開されました。創立80周年には音楽祭やホームカミングデイが同時開催され、80周年記念館が建設されてカフェテリアが開業されました。NPO法人湘南食育ラボが日々の出食と食育の推進を担ってくださるようになりました。
 中高は総合学習を深めてユネスコスクールに加盟し、SGHの準拠校にも認定され、ESDの理念で全教育活動を統合していきました。小学校はコンクール最優秀賞を得た新校舎を建て、旺盛な授業研究と総合学習に取り組み、エコスクールに認定されました。幼稚園はきめ細かな保育実践が高く評価され、その預かり保育は小学校のアフタースクールとともにご家庭の切実なご要望に応えてきました。「子どもたちの成長を願ってみんなで創る総合学園」という志が、今世紀も時代の課題に応える新たな形で展開されているのです。
 
 湘南学園も、「ウィズコロナ」の長期化の中で教育を守る模索を続けてきました。長期臨時休校や段階的分散登校を経て、通常登校登園後も感染予防対策の徹底をはかりました。休校期間中はオンラインの学習指導やHR運営が活発に展開され、再開後は年間スケジュールや学校行事を修正し、感染対策を励行しながら学園生の学習や体験を極力保証する努力が続けられました。学園生たちも困難にまけずに自分達で学園生活を築いていきたいと主体的に行事や諸活動の企画や運営に参画しました。

 積極的に発言し提案し、仲間と力を合わせて取り組む学園生の姿にも学んで、全学を通して「学園生に育みたい力」について、建学の精神にもとづき以下のように考えます。
 (1) 人を大切にして、つながりを広げられる力
 (2) 自分の考えを深めて、さまざまな機会に表現できる力
 (3) 主体的に行動して、新たな課題にチャレンジできる力

 人それぞれ個性があり気質や性格の違いはあっても、これらの力は普遍的に大切です。情報化や孤立化の進む社会の中で自分を守り、人生の可能性を広げていくために必要な「人間力」の内実として考えるものです。学園生の成長をその視点から統一的に捉えたいです。
 誰もが持続可能な社会の創り手として活躍し貢献できる、個性豊かな人間の育成を期して、総合学園としての教育の発展をはかることが湘南学園の使命であると考えます。 
 
 湘南学園では、この11~12月も幼小中高それぞれ重要な学校行事が目白押しです。現在は中高がそれぞれ研修旅行の真っ最中です。全パートで学園生がワクワク・ドキドキする重要イベントが待っています。思う存分チャレンジし、学び、楽しんでほしいです。