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第243回 私学教員としての恵まれた経験

2022年2月9日

 中学入試期間が終了し、次年度新入生が確定していく時期です。
 私は学園中高の社会科教員を長い間務め、現在まで数多くの学園生や卒業生と向き合ってきました。今回の通信では、様々な出会いやつながりに感謝しながら、私学教員としての恵まれた経験を振り返って紹介したいと思います。(※写真は2010年代のものです)
 
 最も有難いのは、縁あって出会えた生徒達と長い年月にまたがり関われることでした。
 初々しく幼さの残る中1新入生として迎え、思春期の苦悩も秘めつつ身体も心も劇的に成長していく中高時代を同じ校舎で過ごし、高校卒業式では立派な青年に育った姿に毎年接することができました。クラス担任として、社会科の授業で、あるいは生徒会や学校行事で接した生徒達がおおぜいいます。部活動で苦楽を共にした部員諸君もいます。
 
 生徒には、中高6年間それぞれに成長のドラマがあります。急に背が伸びたり、雰囲気や言葉遣いが変わって驚くことがあります。抱える問題や将来の夢を話してくれたり、通学路でふと出会って言葉をかわすこともあります。元気なく屈折した感じだった生徒が何か転機を得て明るくなったり、引っ込み思案だった子が立候補したり何かにチャレンジして輝いたりする姿にも接します。接点がなかなか持てなくて苦手感のあった生徒といつの間にかフランクに話せることもあります。
 大人に近づいていく女子と男子それぞれに個性の伸長を見届けます。卒業後も成人式や後輩の卒業式、就職や結婚など人生の節目に来園してくれる時には固有の有難さを感じます。もう大人になれば同時代を生きていく立場の仲間になる感じです。
 
 幼稚園や小学校の教職員からすれば、同じ学内でも更に年月にわたって卒業生の成長ぶりに接することが出来るので、大人になってからの再会は感動ひとしおでしょう。
 湘南学園は大きなグループの系列とは無縁な単独の私学です。我々教職員は異動のない職場で退職まで長期間勤務します。卒業生から見れば「学園にはあの先生やスタッフがまだいるはず」と見通せて気軽に来園してもらえることが大きいのです。
 
 特に嬉しいのは、関わりのあった卒業生が親御さんとなり、大事なお子様を学園に入学させていただくことです。時には教職員の同僚となって着任していただくこともあります。
 今度は学園生保護者として再び話せる機会が保証されることで、教員としてリフレッシュされる気持ちになります。PTAや法人運営や同窓会など広範な分野で母校と後輩学園生達のためにご尽力いただける機会も多いのです。こうした90年間近くにわたる深いつながり、温かいコミュニティーの形成が、持続可能な湘南学園の発展にとって大切な基盤になっています。