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第244回 学園小学校「学びの森」と児童たち

2022年2月16日

 充実した子ども時代を送る上で、豊かな学力を伸ばしていく上で、校舎や園舎の環境はとても重要です。今回は湘南学園小学校にある「学びの森」についてご紹介します。
 
 現在の湘南学園小学校の校舎は2012年に完成し、翌年「第57回神奈川建築コンクール最優秀賞」を受賞しました。新校舎の構想では“こんな教育を進めていきたい”と先生方は長時間にわたる検討を続け、児童の全校アンケートを通じて寄せられた要望の声も重点的に取り上げました。新校舎は快適で居心地が良く、児童達は“学校が楽しい”と喜び、自分達の校舎に誇りを持ってくれました。

 児童の思いのこもる既存の樹木も移植や保存に努められ、2010年に始まった「エコスクール委員会」の活動拠点ともなる「学びの森」が中庭で整備されていきました。ここを地域の生き物たちが集まる「ビオトープ」にすることが目標にされたのです。
 全校への呼びかけから参加児童の輪が広がり、やってくる生き物が調査され、鳥の巣箱やトカゲのすみかなども作られ、ミニ蓮池の水質調査や看板・観察路の設置が行われました。PTAバザーでは児童がエコショップを出店し、有志で作った手作り廃油石けんの販売を通して水の大切さを訴えました。そして厳しい専門家の方々の審査を経て、待望の「グリーンフラッグ」を取得することができました。(以上『湘南学園80周年記念誌』より)
 
 このように「学びの森」は学園小学校にある大事な場所です。鵠沼地域の生き物たちが集まることが目標とされ、地下水により循環する水辺の環境に多くの生きものが集まり、教室に隣接する畑には多くの農作物が栽培されています。子ども達が季節おりおりの豊かな光景に接し、五感を通して自然の不思議や恵みに出会えるすてきな場所なのです。

 HPの「校長日記」や「学びBlog」に掲載された記事もご注目ください。その引用もふくめてご紹介をします。学びの森では1年生の植えたいろいろな花が咲き、2年生が育てた多彩な野菜が実り、木々の新芽を見つけたり、育てたお芋を焼き芋にしたり収穫した大根や人参などを食べるのも楽しみです。池にはメダカが泳ぎ、蝶やトンボも見つかります。小さな生き物を見つけて顕微鏡で観察することもあります。“学園長先生ほらミミズ!”と手でつかんで見せてくれた児童もいました。学園生児童はたくましいです。
 
 夏にはエコスクール委員会による「学びの森の整備」もたびたびおこなわれてきました。雑草をぬいて不要な枝を切り、水路を掃除してゴミを拾い、外来種の選別・除去も行われます。児童も教員も泥だらけでびしょぬれです、心地良い達成感が共有されるのです。
 昨年度の整備も詳しく紹介されています。鬱蒼とした樹木を伐採し、淀んだ池をきれいにして多種多様な生きものを待ちます。鵠沼地域と同じ樹木を植えて始まりましたが、今回の植樹では実のなる木を更に植えました。エコスクール委員会が取得した「グリーンフラッグ」は受け継がれ、地域で一時は絶滅したと言われていた「藤沢めだか」を放流してその繁殖に寄与したことも注目されてきました。野鳥や水中生物などが増加してきたので、エコスクール委員会のメンバーは「生きものマップ」も作成し、全校児童に興味を持ってもらえるよう主体的に活動しています。

 こうした学びや体験も拠点にして、この先中学生や高校生になったら、更に視野や活動を広げて将来につなげていってほしいと願っています。
(※2月23日は祝日でお休みとし、次回は3月2日に掲載します。)