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2022夏 湘南学園全学教育研修会開催 2

2022年9月8日

夏休みが終わり、学園では通常授業が始まっています。幼小中高、それぞれのパートでは、学習、そして行事に向けての取組に力が入っています。コロナ禍は、なかなか収束しませんので、まだまだ制限のある中での取り組みになります。保護者や学園関係者、地域の方々には十分な形での参観はできないと思いますが、公式HPやFacebook、ブログ等を通して子どもたちの頑張りを応援していただければ幸いです。コロナ禍収束後は、多くの方に参観していただけるようご案内いたします。引き続き、ご理解とご協力をお願いいたします。
 
さて、前回に引き続き8月29日に開催した全学教育研修会についてお知らせします。今、学園の教育を見つめ直すことが、90周年を目前に控え、100周年を目指す学園には必要なことです。これまでに学んだ知識や身につけた技術を振り返り、さらなる学びや成長につながる形に整理し直すプロセスに目を向け、実行することです。最近の言葉で言うと、学園教育を「アンラーン」することです。そのために今回は、法政大学教育課程センター長の児美川孝一郎教授に「子どもたちは、どんな社会に漕ぎ出していくのか」をテーマにご講演いただき、教職員自身が学びほぐし(アンラーン)をしました。教育について捉えなおす刺激的なお話で、新たな気づきとともに、今後の教育活動に向けて元気と勇気をいただきました。
 
私たちは、将来社会に出ていく子どもたちにとって必要な教育をしようと思っているわけですが、その将来社会のみならず、今現在の社会がどのようになっているのか知ることが肝要です。昔から「教員は世間知らず」と揶揄されることがよくありました。どうしても学校と家庭との往復の日々では、社会との接点のないまま、限られた空間での生活を余儀なくされてきました。特に教員の多忙が叫ばれるようになってからは、ますますその傾向は強くなっています。社会について知ることは、教員にとって教育を考える上で欠かせないことであり、子どもたちが社会に適応できる力をつけることが欠かせないことだと考えてきました。それは、決して間違っているわけではありませんが、それだけでいいのか!というのが児美川先生の主張でした。
 
「こんな社会がくる」⇒「子どもにはこんな能力を身につけるべき」という誰も否定できない公式に当てはめるだけでいいのか?直線的に考えるだけでなく、いろいろな見方をしてみる必要があるのではないか?みんなが言っていることを鵜呑みにするだけでなく、湧いてくる気づきや疑問を大切にすることです。子どものためにいいことだと言われていることも、本当に子どものためにいいのか、立ち止まって考えてみることです。今必要な考え方は、将来社会のために今どうするかということだけでなく、子どもたちとともにどんな社会を創っていきたいかということであり、子どもたちが自らの人生の主人公として生きていくようにすることです。そのために大切にしたいことは、子どもの事実をしっかり見つめ、そこから出発することではないでしょうか。「子どもたちが学ぶことと生きることをつなぐ」「学ぶことと社会をむすぶ」まさにキャリア教育そのものです。
 
このように語られる児美川先生の話を聞きながら、やはりESDが求められているのだと私は感じました。ESDで求められている思考力はクリティカルシンキング(批判的思考力)であり、これまでの教育を一度立ち止まって考え、話し合い、より持続可能な方へと再方向付けすることでした。真に受けず、自分で確かめ、対話を通して問題解決すること、どのような世の中になっても必要なことなのではないでしょうか。そして、そのために必要となる土台として、お互いをリスペクトし合うこと、ケアし合うことが欠かせません。「ケアと対話で、持続可能な社会の創り手を育む学校」湘南学園が100周年に向けて大事にしたいビジョンなのだと思います。児美川先生の講演から、新たな見方・考え方をいただき、湘南学園の未来を展望する時間となりました。