教育現場にどんどん入っているSDGs/ESD
新型コロナウイルス感染症の感染状況は収束しませんが、湘南学園では感染対策をしながらも各種行事を行ってきました。3年ぶりとなる行事や取組もありましたが、子どもたちと教職員、関係者の工夫と努力、保護者の皆様のご理解とご協力のもと、形を変えながらも計画を実行に移すことができました。今後の行事につきましても同様に進めてまいりたいと考えています。
さて、今回から、ESDとSDGsについて取り上げてお伝えしていきたいと思います。まずESDとSDGsなのですが、ESD=2002年 国連決議「持続可能な開発のための教育」、SDGS=2015年 国連決議 「持続可能な開発目標」 17の目標 169のターゲット。大まかに言うとESDとは持続可能な社会を創るための教育のことです。そしてESDの具体的な目標がSDGsです。
SDGsは何を呼び掛けているのか?「あきらめるな!今ならまだ間に合う。すべての人が地球を救うパートナーだ!」と言うことです。SDGs/ESDをやらない選択肢は、もうないのです。
SDGsが具体的な開発目標~解決すべき課題=地域によって異なるので、地域に見合った複数の目標とターゲットを探して、地域の目標とターゲット(課題)を設定するのです。この目標をESDという持続可能性(現世代も将来世代も豊かに暮らすことができる社会づくり)の視点で実践します。この時、学校が重要な役割を果たします。(学校だけが実践するということではありません。地球のすべての人が当事者として実践する必要があります)
湘南学園中学校高等学校の図書館では、図書委員会の生徒たちが学校図書館司書とともに「まんがでSDGs!!」という冊子をつくって多くの学校に配布してきました。「はじめに」には、このようなことが書かれています。
「私たちの学校、湘南学園中学校高等学校はESDに取り組むユネスコスクールとして、国連が掲げるSDGsを理解するための様々な取り組みを行っています。その過程でたくさんの知識を得ることはもちろん大切ですが、最も重要なのは、様々な問題を他人事ではなく、自分事として捉えることです。しかし、まだ人生経験が少ない私達にはそれらを身近に感じられるような機会があまり多くありません。どうしたら様々な問題をもっと身近に感じることができるのか?そこで思いついたのが、まんがの活用です。―中略―今まで何気なく読んでいたまんがを、SDGs的な視点をもって見つめなおしてもらえたら幸いです」(湘南学園中高図書委員会)
学校図書館とは…SDGsに出会える場。行動のきっかけにもなります。湘南学園のみならず、全国各地の学校図書館が取組や考え方、事例を紹介し合い、SDGsを共通言語につなぎ拡げていくことができたら素敵なことだと思います。ここから生まれた繋がりから、それぞれの独自性を保ちながら、決して競い合うことなく、ともに成長していくことが期待されます。
また、湘南学園は「かながわSDGsパートナー」に登録して活動しています。幼稚園・小学校・中学校高等学校の総合学園として登録している教育機関は他にはありません。そして、その窓口を務めているのが事務局です。事務局長を中心に事務局、幼稚園・小学校・中学校高等学が協力して活動しています。しかも、湘南学園カフェテリアを運営している「湘南食育ラボ」も「かながわSDGsパートナー」に登録して活動しています。一つの敷地内で2つの団体が登録されている、SDGsへの意識が高い学園とも言えます。
その取り組みの一つに「フードドライブ」があります。10月は「食品ロス削減月間」です。学園では昨年に引き続き、フードドライブを実施することにしました。各家庭で消費しきれない食品等を持ち寄り、フードバンクに寄付することで、食品ロスの削減、子どもの貧困の解消につながるというSDGsアクションの取り組みのひとつです。
「もったいない」「分かち合い」「ありがとう」をキーワードに、フードバンクふじさわを通して支援を必要とされている方にお届けします。ESDでは、「分け合えば足りる」と言われてきましたが、食品ロスを減らし、食べ物の価値を活かすこと、フードバンクを通じて、地域の助け合い・支え合いを実現すること、生活に困っている人・社会的に弱い立場にある人々の食のセーフティーネットを目指すことの必要性を改めて確認することができました。
学校法人としてのSDGsの取組の窓口が事務局になっていることは、ESDが授業の中だけ、教員だけで行うのではないということを示しています。「ESD/SDGs」の取組は、教室の中だけでやるものではなく、学校全体でやるものです。ですから、教員、講師、事務職員、学校図書館司書、用務員、調理員、警備員、支援員…さらには、PTA、評議員、理事、地域コーディネーター、学校運営協議会…、さらに地域、企業、行政、NPO…と広がりながら、つながりながら進めていくのです。