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創立90周年を目前に控えて

2023年11月7日



1933年4月2日。鵠沼の松林に小さな学び舎として、民家を教室に、小学校3名、幼稚園5名でスタートした湘南学園が90周年を迎えます。
 
湘南学園が誕生した1933年、その頃の日本や世界はどんな様子だったのでしょう。湘南学園が生まれる直前の3月27日には、日本は国際連盟から正式に脱退しています。その前には、日本軍が中国に侵攻し、国際連盟から撤退の勧告を受けていました。ドイツでは、ナチスの一党独裁が始まり、日本に続いて10月に国際連盟から脱退しています。このころの世界は、戦争へと向かっている時期だったのです。大変な時代だったことが分かります。その反面、科学技術の進歩によって、人々は生活を楽しみ未来への希望を託す気分も広がっていたようです。横浜の消防署に日本初の救急車が登場したり、大阪で初の地下鉄が開通したり、丹那トンネルが開通したりしました。そして、5月には、山形盆地で日本最高気温40.8度が記録されたようです。90年前にもそんな日があったんですね。今では、首都圏でも40度に迫る日は多くなってきました。
 
湘南学園が生まれたころの教育は、きっと戦争に向かうための教育へとなっていったのだと思います。そんな中、初代学園長の小原國芳先生の考えのもと、成城学園の澤柳政太郎先生の影響も受けて「自分たちでつくる学校で、新しい教育」をつくっていこうとしたのが湘南学園なのです。大正時代に興った自由教育・自発教育の流れを受け、小原先生の全人教育の理念をベースにしながら、時代に合わせてバージョンアップしてきたのが現在の姿なのです。時には、苦しい選択を迫られた時もあったでしょうが、長年にわたって積み重ねてきた教育実践が、多くの卒業生の個性として花開き、90周年を機に改めてその魅力が見えてきました。「個性豊かにして」他の私学との違いを湘南学園ブランドとして、今後につないでいく可能性が100周年に向けての光となります。その光とは、正に学園生そのものであり、建学の精神に謳われている姿の実現こそが、持続可能な社会の創り手としてふさわしい理念だと考えています。
 
先日、静岡に講演に行った時に、「校長室に小原國芳先生の書『人愛天敬』が飾ってある」と連絡をくれた校長先生がいました。「天を敬い、人を愛する」人間としての正しい行い、利他の精神を大事にして思いやりをもって接するというようなことですが、ESDのベースであるケアやウェルビーイングにもつながるものです。小原先生は、日本国内だけでなく海外にも出かけて新教育について講演をされていましたので、私が行くところにも小原先生の書や寄贈された本などを見ることがあります。そういうものを見るたびに、時を超えて、いつの時代にも新たな教育が必要で、伝え続けなければならないことを感じます。小原先生からは、大学時代に講義を受けていましたが、縁あって湘南学園に務め、今また足跡から学ばせていただいています。1933年の小原先生の思いに触れながら、90周年事業を迎えたいと思います。
 
※90周年記念事業の内容等につきましては、このホームページの特設ページをご覧ください。なお、イベントの申し込み日時が記載されているものがありますが、人数把握のためですので、当日参加できるものもあります。ぜひお立ち寄りください。また、一般入場の方は、身分証明を確認されていただきますので、ご承知おきください。90周年記念事業寄付金も受け付けていますので、「ご支援をお考えの皆さまへ」からお願いいたします。
 
引き続き、各パートのインスタグラムの方もご覧ください。様々な教育活動の様子を見ることができます。